物流特殊指定が改正、着荷主規制が加わる。対象取引や施行時期について
目次
物流特殊指定の告示が6月17日に改正され、新たに着荷主への規制が加わることになりました。着荷主が実運送事業者に対して行う、不当な荷待ち・荷役の要求や運送の変更などが規制対象となります。施行は2027年4月1日が予定されており、これまで規制の網が届きにくかった領域にメスが入ることになります。
※当記事は、2026年7月10日時点の情報をもとに作成しています。
物流特殊指定で新たに着荷主への規制が加わる
物流特殊指定の告示が6月17日に改正され、新たに着荷主への規制が加わることになりました。着荷主が実運送事業者に対して行う、不当な荷待ち・荷役の要求や運送の変更などが規制対象となります。今年1月に施行された取適法で「特定運送委託」が規制対象となりましたが、物流業界にとってインパクトのある制度変更が続くことになります。特に着荷主起因による荷待ち・荷役の問題は、規制の網が届きにくかった領域です。実運送事業者がしわ寄せを受けてきたこれまでの商慣習の是正につながるものとして期待がかかります。
物流特殊指定とは?
そもそも物流特殊指定とはなんなのか、という点についても触れておきたいと思います。端的には、物流取引の実態に即してつくられた物流取引専用のルールです。優越的地位の濫用を防ぐ基本法となる独占禁止法に基づいて定められた公正取引委員会による告示となります。
法律を改正するには非常に時間がかかりますが、告示は法律に比べると短いスパンで改正を行うことができます。また、独占禁止法では業界特有の問題にメスを入れるといったことには適していません。
近年、ドライバー不足の深刻化から輸配送の生産性向上が重要課題となっています。そして、輸配送の生産性向上のためには、荷待ち・荷役の時間を削減していくことが不可欠です。実際、そのために国も様々な角度から策を講じています。こうした中で、今回、物流特殊指定によってまた一つ規制が加えられたということになります。
物流特殊指定で着荷主規制が加わることになった背景

出典:公正取引委員会・中小企業庁「第4回企業取引研究会」14P
まず、物流特殊指定の規制範囲を整理すると、発荷主から元請運送事業者への運送委託は以前より規制対象となっていました。さらに今年1月からは取適法でも「特定運送委託」として規制対象となったことで、当該取引への規制はより強化されたことになります。
一方で、着荷主から実運送事業者への行為に対しては規制がかかっていない状態でした。着荷主が実運送事業者に対して契約外の荷待ちや付帯作業を要求する行為は、かねてから問題視されていましたが、着荷主と実運送事業者は直接の契約関係にないことから規制を加えることが難しく、物流特殊指定でも取適法でも規制の対象外となっていたのです。
この点において、3月に行われた第4回企業取引研究会で、発荷主と着荷主の取引関係から規制を加える方向性が示されました。具体的には、発荷主と契約していない行為を実運送事業者を通じて行わせること自体が発荷主の利益を不当に害する行為になるとして規定するといったもので、物流特殊指定の枠組みの中で規制が加えられるよう調整されたかたちです。そして今年、意見公募や公聴会などを経て、6月17日に改正されました。
規制対象となる取引関係
今回の着荷主規制で対象となる取引関係については、以下のように書かれています。
事業者規模(資本金・従業員)が一定を超える着荷主(又は取引上優越した地位にある着荷主)であって、事業者規模が一定を下回る発荷主(又は取引上の地位が劣っている発荷主)との間で継続的な取引(物品の販売、製造請負、修理、情報成果物の作成請負 )の相手方としてその物品の引渡しを受けるもの
出典:公正取引委員会・中小企業庁「第4回企業取引研究会」14P
また、具体的な資本金額・従業員数については以下の通りです。
| 着荷主 | 発荷主 |
|---|---|
| 資本金3億円超 | 資本金3億円以下(個人事業者を含む) |
| 資本金1千万円超3億円以下 | 資本金1千万円以下(個人事業者を含む) |
| 従業員300人超 | 従業員300人以下 |
| 取引上の地位が優越している着荷主(※) | 取引上の地位が劣っている発荷主 |
(※)取引上の地位の優劣に関しては、着荷主への取引依存度や着荷主の市場での地位などから総合的に判断されます。
物流特殊指定で規定されている禁止行為
- 代金の支払遅延(手形払等の禁止)
- 代金の減額
- 買いたたき
- 物の購入強制・役務の利用強制
- 不当な経済上の利益の提供要請
- 不当な運送・保管内容の変更及びやり直し
- 協議に応じない一方的な代金決定
- 要求拒否・情報提供に対する報復措置
「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合等の特定の不公正な取引方法」リーフレット
物流特殊指定においては、上記が禁止行為として規定されています。そして、このうち今回の着荷主規制で深く関係してくるのが、「不当な経済上の利益の提供要請」と「不当な運送・保管内容の変更及びやり直し」です。
「不当な経済上の利益の提供要請」は、無償での荷役・付帯作業の要求などが、「不当な運送・保管内容の変更及びやり直し」は、無償での荷待ちの要求や不当に運送を変更させることなどが該当します。改正物流特殊指定の施行後、着荷主による実運送事業者へのこれらの行為は禁止行為として規制対象になる、ということになります。
物流特殊指定の規定に違反した場合の措置
物流特殊指定の規定に違反した事業者は、排除措置命令、確約計画の認定、警告、注意などの対象となります。なお、独占禁止法違反においては課徴金納付命令が下される場合がありますが、物流特殊指定違反は課徴金の対象ではありません。
物流特殊指定の着荷主規制の施行はいつから?
物流特殊指定の着荷主規制は、2027年4月1日から施行されます。施行まで1年を切っており、着荷主となることが多い事業者は、運送事業者との荷受け現場でのやりとりをはじめ、発荷主との契約内容を改めて確認し、契約にない不当な行為が現場で行われていないか今一度確認しておくことが必要となります。
まとめ
物流特殊指定の告示が6月17日に改正され、新たに着荷主への規制が加わることになりました。着荷主が実運送事業者に対して行う、不当な荷待ち・荷役の要求や運送の変更などが規制対象となります。
2027年4月1日から施行され、施行後、物流特殊指定の規定に違反した事業者は、排除措置命令、確約計画の認定、警告、注意などの対象となります。
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