ロジスティクスAI 戦略のポイント
From:朴成浩
いわゆる輸送系のシステムをよく「TMS」と言いますが、TMSには大きく分けて2つのジャンルがあります。計画系のシステムと実行系のシステムです。
たとえば、最適な配送計画を立案する私たちの自動配車システムのように、
「さあ、これから車両をどう走らせようか?」
と計画を立てるときに活躍するのが計画系のシステムで、
たとえばクラウドのデジタコのように
「ちゃんと車両が走っているかな?」
と、現在の運行状況を把握、管理するシステムが実行系のシステムということになります。
私たちライナロジクスの得意分野は計画系です。
実行系についてはナビタイムさんなどのデジタコ、カーナビのパートナー各社さんと連携して、お客様ごとに合ったものを提案するようにしています。
ただ、このとき、多くの方は次のようなことを悩まれるようですね。
計画系も実行系も一体になった総合的なTMSと
それぞれの機能に特化した専門TMS
どちらが良いのだろうか?
これに対する私の答えは明確です。
たとえば、こんな想像をしてみてください。もしあなたが友人から、
スポーツカーを買おうか
ミニバンを買おうか悩んでる
というような相談を受けたとしたら、どうしますか? どの友人にも当てはまる正解があるでしょうか? もちろん、そんなものはないですよね。
答えは当然、「なぜ、車が欲しいのか?その車で何をしたいのか?」によって変わってくるわけです。ここまでは当然ですよね?
が、実はここに落とし穴があります。
さて、どの車を買うべきか、ここであなたの友人は車が必要な理由をあれこれと考え始めるわけですが、さあ、友人はそうやって思いついた理由をあれこれ挙げていくだけで良い答えを見つけられるでしょうか?
むしろ、考えれば考えるほど、あとで振り返ると「しまった!」と後悔するような選択をしてしまったということはありませんか? どうしてこういうことが起こるのでしょうか? それは、「理由」は通常、一つではなく様々だからです。
そして、ここが重要なところですが、たとえば、週末、自分が趣味でドライブする分にはスポーツカーの方が良いし、でも家族のことまで考えるとミニバンが良いし、というように、洗い出された100ほどある様々な理由や用途は、それぞれに異なる最適解を要求するわけです。さあ、では一体、どのニーズにとっての「最適解」を選べば良いのでしょうか?
こういうとき、人間は単純に「○の多かった方」、つまり、より多くのニーズを満足できるものを選択しがちですが、これは実はかなり最悪な方法です。
こういうとき、選択を間違わないようにするために必要なのは、
今、何が一番問題になっているのか?
ということにフォーカスすることです。ただたくさんの理由を考えるのではなく、「解決すべきもの」と「できれば解決したいもの」に分けて考えるのです。
そうして、「できれば解決したいもの」の多さで選ぶのではなく、今、「解決すべきもの」を一番、上手に解決できるソリューションを選びましょう。「できれば解決したいもの」を欲張り過ぎると、後で「こんなはずじゃなかった」ということになりがちです。
もっとも「多く」の課題を解決できるソリューションがベストなのではなく、最大の問題をもっとも「良く」解決できるソリューションがベストだ、ということは、言われてみれば当たり前なのに、実際にはあまりに忘れられやすいことのように思います。私たちはこのことをあまりにもよく忘れてしまうので、
「一番、重要なことは何か?」
と、紙に書いてモニターの上に貼って毎朝、必ず復唱したいくらいです。
さて、そんなわけで、システム選びの話に戻ると、「全部入りシステム」と「専門システム」、どちらが良いか?について、もう答えは分かりますよね?
あなたの最大の問題をもっとも良く解決できるシステムがあなたにとってのベストです。全部入りか、専門か、などはどっちでも良い話なのです。
もし、たった1個の問題点しか解決できなかったとしても、その問題点があなたが本当に解決すべき最大の問題点であるならば、それがあなたにとってベストのソリューションです。「できれば解決したいもの」はこの際、忘れてしまいましょう。
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・・・と、今日は本当はもっと細かいテクニカルなポイントについて書こうと思っていたのですが、何だか最初の想定とずいぶん違う話の流れになってしまいました(笑) ということで、テクニカルなお悩みをお持ちの方は個別にお問い合わせ頂ければと思います。
さて、とはいえ、せっかくなので、全部入りシステムと領域ごとの専門システムの違いについて、見落としがちなポイントを一つ、お話させて頂きます。
それはスイッチングコスト、つまり離脱についてですね。あるトータルソリューションが、そのカバーする全ての領域において、将来に渡ってもベストソリューションであり続けるのかどうか? この点については見落とされがちなポイントであるように思います。
このことは突き詰めて言えば、自社の事業を取り巻く環境—顧客や競合、パートナー、技術、社会制度など—がどれくらい安定したものであるか、を考えてみることと同じです。重い問いですが、考える価値のある問いだと思います。
身軽であることが好ましい時代もあれば、重装備で固める方が良い時代もあるでしょう。いずれにしても、手に入れた道具に戦い方を固定されてしまって、競争環境から取り残されてしまうという愚は避けたいものですね。
++朴成浩
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