初心者向けかんたん物流コラム
2024年5月、公正取引委員会が下請法改正に乗り出すことが報道によって明らかとなりました。
「荷主と運送事業者間の取引への下請法の適用」が想定されており、改正案は2025年の通常国会に提出される見込みとなっています。さらにここにきて、「荷主と下請事業者間の取引に適用する」ことを想定した議論が行われていることも明らかとなりました。
不当な運賃据え置きや長時間の荷待ちなどを現場から無くそうと行政の動きが慌ただしくなっており、その動向に注目が集まっています。
※2024年10月16日時点の情報を基に記事を作成しております。
※2024年10月16日時点では下請法の改正内容は明確化されていません。記事内容は10月16日時点での速報です。
※当記事につきましては、新しい情報が入り次第、随時更新いたします。
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下請法改正への動きが本格化しています。2024年5月、公正取引委員会が下請法改正に乗り出すことがメディアの報道によって明らかとなりました。物流に関わる主な内容は、荷主と運送事業者間の取引に下請法を適用しようとするものです。
この記事を執筆している2024年10月16日時点では、荷主と運送事業者間の取引には下請法が適用されていません。下請法は「製造、修理、情報成果物作成、役務提供」の委託取引において適用されるため、これらに該当しない荷主と運送事業者間の取り引きは基本的に適用外となっています。
一見すると、荷主が運送事業者に運送業務を委託することは、役務提供委託に該当するようにも思えますが、下請法においての「役務提供委託」は「事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(下請法第2条4項)」と定義されており、運送事業を本業としない荷主と運送事業者間の取り引きは適用外となるのです。(運送事業を本業とする元請事業者と下請事業者間の取引には適用されます。)
また、荷主と運送事業者間の取引においては、独占禁止法によって規制の範囲が及んでいましたが、優越的地位の濫用における判断基準の一部で争点になることが多く、違反行為を除くために必要な措置を命じる排除措置命令を出すまでに時間がかかることも課題点となっていました。
一方で、下請法は判断基準が明快です。今後どのような条文になるかはまだわかりませんが、現状は「取引内容」と「取引を行う事業者間の資本金関係(例:資本金3億円超の事業者が資本金3億円以下の事業者(個人を含む)に委託する場合、資本金1千万超3億円以下の事業者が資本金1千万以下の事業者(個人を含む)に委託する場合)」で、適用対象が決まります。つまり独占禁止法よりも下請法のほうが判断基準が明快であり争点が生じにくいのです。荷主と運送事業者間の取引に下請法が適用されれば、荷主の違反行為に対しての措置が取りやすくなり、かつ措置命令に至るまでのスパンが短縮化されていくことが想定されます。
政府は2024年6月、「経済財政運営と改革の基本方針2024~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」(骨太方針2024)で、下請法の執行強化、下請法改正の検討等を行うことを明記しました。下請法改正案は2025年の通常国会に提出され、改正されることが見込まれています。
出典:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法」
出典:内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~(令和6年6月21日閣議決定)」
ここにきて荷主と下請事業者(実運送事業者)間の不公正な取引に下請法を適用しようとする案が検討されています。
2024年10月、物流に係る優越的地位の濫用規制の在り方や下請法の見直しなどを議論するために公正取引委員会・中小企業庁が立ち上げた「企業取引研究会」で明らかとなりました。
具体的には、下図のように、(4)と(5)の直接の取引関係にない事業者間の業務において、不公正な取引があった場合には、下請法を適用できるようにしようとするもの。
出典:公正取引委員会・中小企業庁「第3回企業取引研究会」
この見直し案に関して、2025年の通常国会で提出される見込みの下請法改正案に盛り込まれるかは現時点ではまだわかりませんが、改正案に含まれることになれば荷主と元請事業者間の契約において、荷待ちや付帯作業に関して、より透明性の高いかつ厳格なルール設定が求められることになります。
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前述しましたように下請法の改正が見込まれています。これにより、実運送事業者が割を食うことのない適正な取引環境の整備が図られることや、多重下請け構造が是正されることなどが期待されます。特に、不当な運賃の据え置きや契約にない長時間の荷待ち・付帯作業の要求などが無くなるよう改善されていくことが求められます。
背景にあるのは周知のように2024年問題です。もとよりドライバー不足だった状況が2024年問題により、拍車をかける恰好となってしまっています。ドライバーを確保し、数年後の“運べなくなる”状況を回避しようとなれば、ドライバーの賃上げが不可欠であり、その原資となる運賃の値上げも不可欠でしょう。
2024年問題を機に、下請法改正や物流関連2法改正など、行政による法整備は着々と進んできています。言うなれば、荷主と運送事業者との関わり方が変わるよう・健全な取引が行われるよう、働きかけが着々と行われてきている、ということです。
「物流は協調領域」という言葉を目にするようになりました。荷主の理解と協力が、2024年問題解決、そして物流維持への鍵となっています。
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