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荷待ち時間とは?実態・発生原因・改善策・政府の施策


2024年問題が叫ばれる中、荷待ち時間をいかにして削減するか、が重要な議論のテーマとなっています。以前からトラックドライバーの長時間労働の温床とされ、問題視されてきましたが、ここにきて改善に向け官民両方で大きな動きが見られるようになりました。

荷待ち時間とは何なのか、改善に向け政府はどのような策を打ち出しているのか、などについて解説していきます。

【2024年問題について詳しく知りたい方はこちらの記事を】
物流2024年問題とは?運送事業者/荷主/社会への影響や求められてくること


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荷待ち時間とは?



荷待ち時間とは、荷物の積み降ろしのために生じるトラックドライバーの待機時間のことを指します。物流施設の処理能力が低いことによる庫内作業の遅れや、荷物の積み降ろしをする場所(トラックバース)での車両の集中など、様々な原因から荷待ちは発生します。

荷待ち時間は、輸配送業務の生産性を低くすると共にトラックドライバーの長時間労働の温床ともされており、大きな問題となっています。


平均1時間34分の荷待ちが発生している


トラック輸送状況の実態について、国土交通省は令和3年1月〜3月にかけてアンケート調査を行っています。この調査によると、全体の運行のうち荷待ち時間があったのは24%、荷待ち時間の平均は1時間34分でした。

荷役時間の平均は1時間29分で、荷待ち時間と荷役時間の合計時間は3時間3分でした。

さらには、トラックドライバーの拘束時間に関して、荷待ち時間がない運行では10時間38分、荷待ち時間がある運行では12時間26分と、荷待ち時間がある運行のほうが拘束時間が長くなる傾向にあることが分かりました。

また、この調査の中で荷待ち時間の実態を把握していない荷主が多いことも明らかとなりました。荷待ち時間が発生していることを認識していた荷主は約20%に過ぎませんでした。

出典:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」



荷待ち時間が発生する原因



荷待ち時間が発生する原因は一つではありません。様々なことが原因として挙げられます。

物流施設の処理能力が低い

荷量に対して物流施設の処理能力が追いついていない、つまりキャパオーバーになっている場合があります。人手不足や非効率なオペレーションになっているなどの理由で、出荷作業や荷受け作業に遅れが生じ、それが荷待ち時間の発生につながるというケースです。

車両の集中

物流施設に車両が集中すれば、それだけ荷待ちが発生する可能性は高くなります。例えば、時間指定があった場合でも、その時間帯で車両が集中してしまえば前の車両の荷役作業が終わるまで順番を待つことになります。

荷主から時間指定があったとしても、その時間通りに積み降ろしができるわけではない、というのが実情です。

手荷役の存在

国内では約35%がバラ積み等で運送されているといわれています。減少傾向にはありますが、いまだバラ積みバラ降ろしは残っています。手荷役により時間がかかり、荷待ち時間の発生につながっているというケースもあります。

トラックバースの数が少ない

トラックバースとは、物流施設に設けられている荷物の積み降ろしをする場所のことです。トラックバースの数というハード的な側面が原因で荷物時間が発生するケースもあります。

車両が物流施設に着いてもトラックバースが空いていなければ、その車両は待つしかないためです。トラックバースのキャパ以上の車両が続々と入ってくれば自ずと荷待ち時間は発生します。

荷主が改善に積極的でない

正確には荷待ち時間が“発生し続けている原因”と言えますが、荷待ち時間が発生している背景には荷主が改善に積極的でないということもあります。前述しましたように、国土交通省の調査ではそもそも荷待ち時間が発生していることを認識していた荷主は約20%に過ぎませんでした。

荷待ちの問題を改善することにメリットを感じていない荷主も多く、なかなか改善されない背景にはこのような事情もあります。


荷待ち問題を改善するためには?


荷待ち問題は、前提として、運送事業者の力だけでは対処が困難な側面があります。そのため、荷待ちの改善にあたっては荷主の理解と協力が不可欠となります。次から紹介する改善策も荷主側の対応が必要なものとなります。

バース予約受付システムの導入

荷待ち時間の削減に有効なITシステムがバース予約受付システムです。バース予約受付システムとは、荷役時間を先だって予約できるシステムです。

これにより、トラックバースでの混雑を避けると共に、物流施設側は予定の把握ができ作業の優先順位をつけることができます。

パレットの活用

手荷役からパレット荷役にすることは大幅な荷役時間の短縮となります。荷役時間が短縮すれば、荷待ち時間が発生するリスクも抑えることができます。

積載率の低下やコストアップなどのデメリットがあるため、荷主の理解があることが前提となりますが、持続可能な物流を構築していく上では重要な取り組みとなります。

マテハンの活用

ハンディターミナルや自動仕分機などを活用することで、庫内作業の省力化や効率化が可能となります。

特にハンディターミナルはピッキング作業時や検品作業などの時間的なロスやミスの削減につながるため、庫内作業の時間短縮に効果的なツールとなります。庫内作業の時間が短縮されれば、遅れが発生する可能性は少なくなります。

発注量の平準化

車両が集中する日は荷待ち時間が発生しやすくなります。そのため、車両の集中を抑えることができれば、荷待ちが発生するリスクも抑えることができます。

そこで考えられるのが発注量の平準化です。メーカーからサプライヤーへの発注量を平準化し、曜日波動や月間波動を抑えるということです。積載率の向上や車両台数の削減にもつながります。



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荷待ち問題と密接な関係にある2024年問題|政府が打ち出した施策とは?



今や経済に多大な影響を与え得る問題として扱われているのが2024年問題です。何も対策を講じなければ2030年には約3割の荷物が運べなくなるといわれており、輸送の供給量の減少にともなって需給のギャップが開いていくことが想定されています。

政府は目前に迫った物流危機への対策として、2023年6月に「物流革新に向けた政策パッケージ」を発表、これと共に徐々に施策が具体化してきました。2024年問題対策を講じる上で、荷待ち時間削減は重要項目であり、政府は荷待ち時間削減に向け複数の施策を打ち出しています。

荷待ち・荷役作業「2時間以内ルール」

荷待ち・荷役作業「2時間以内ルール」は、荷待ちや荷役作業にかかる時間を計2時間以内にすることを荷主に求めルール化したものです。

前述した国土交通省のアンケート調査では、荷待ち時間と荷役時間の合計は約3時間でした。これを2時間以内にしようということになります。2時間以内に短縮することができた荷主、もしくはすでに2時間以内である荷主は1時間以内を目標にしさらなる時間短縮に努めることを求めます。

また、運賃の参考指標を示した「標準的な運賃」の改正が予定されており、荷待ち・荷役時間が2時間を超えた場合の料金は5割増しとなることが見込まれています。

トラックGメンの設置

荷主への監視の目を強くしようと2023年7月に設置されたのがトラックGメンです。具体的には、悪質さのレベルに応じて、「働きかけ」「要請」「勧告・公表」を行うもの。荷主の悪質行為に関しての情報は、国土交通省の公式サイト上の目安箱やヒアリングなどを通じて収集するとしています。

すでに全国162名のGメンが活動をしており、成果も表れています。トラックGメンの「集中監視月間」であった2023年11月〜12月において、164件 の「要請」と47 件の「働きかけ」を実施、さらには2件の「勧告・公表」も実施。過去に「要請」を受けたにも関わらず、依然として違反原因行為をしている疑いがあった荷主等に「勧告・公表」を実施したとしています。

荷待ち・荷役時間短縮に向けた計画作成の義務付け

一定規模以上の荷主・物流事業者を対象とした荷待ち・荷役時間短縮に向けた計画作成を義務付ける施策も打ち出されています。

これに伴い「物流総合効率化法(物効法)」の改正案が2024年2月に閣議決定されました。改正案は国会に提出され、6月までの通常国会での法制化が想定されています。違反した事業者には、最高100万円の罰金が科される見込みです。

まとめ


荷待ち時間とは、荷物の積み降ろしのために生じるトラックドライバーの待機時間のことです。物流施設の処理能力が低いことによる庫内作業の遅れや車両の集中など、様々な原因から荷待ちは発生します。

改善策としては、バース予約受付システムの導入やパレットの活用などが考えられますが、どれも荷主の理解・協力が不可欠となります。

また、昨年6月以降、政府は2024年問題を契機に様々な施策を打ち出しています。荷待ち・荷役作業「2時間以内ルール」やトラックGメンの設置、荷待ち・荷役時間短縮に向けた計画作成の義務付けなど。荷待ち時間を削減しようとする動きが活性化してきました。


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