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初心者向けかんたん物流コラム

【2023年最新】物流DXとはそもそも何か?ロジスティクスのプロが徹底解説!


今回は全日本トラック協会で物流DX講座の講師もされているアセンド株式会社の日下 瑞貴さんに、物流DXについての解説をしていただきました。

【サマリー】
★ DXとはデジタル技術を用いた経営改革であり、個別業務のデジタル化とは趣旨が異なる。
★ DXを進めるためには、計画をしっかり作り、中長期の改革を継続して行うことが必要。
★ DXは、経営陣のリードや中長期的な改革を見据えた投資の意思決定が不可欠。
★ 物流DXのキーワードは「デジタル化・標準化・省人化」の3つ。
★ 「デジタル化・標準化・省人化」の相互関係を理解しながら進めることが重要。

※当記事は、株式会社ライナロジクスが運営しているYouTubeチャンネル「物流ナビ」で公開中の動画「【2023年最新】物流DXとはそもそも何か?ロジスティクスのプロが徹底解説!」の内容を基にしています。


オープニング


【物流ナビ 司会】平野 貴規(以下、平野)
【ゲスト】アセンド株式会社 代表取締役社長 日下 瑞貴 氏(以下、日下)

Speaker 1

平野:皆さんこんにちは。物流ナビの平野です。
今回は全日本トラック協会で物流DX講座の講師もされているアセンド株式会社の日下さんです。
今回は物流DXについて深掘りしていきます。よろしくお願いします。


Speaker 2

日下:はい、よろしくお願いします。


DXとは


Speaker 1

平野:最近、DXがもの凄く巷で話題になってますけどそもそもDXとは何なのでしょうか?


Speaker 2

日下:DXは色んな考え方があるんですけれども、端的に言うとデジタル技術を用いた経営改革であるというところが一番のポイントですね。

注意をしないといけないのは、DXは個別業務のデジタル化とは違うんですよという点。基本的には計画をしっかり作ってかつ継続をしていきましょうということがDXの一番大きなポイントになっていきます。

一発の改革をしてそれで終わり、ではなくて中長期の計画を作ってそこに向けて改革をずっと継続していきましょう。というのがDXの一番大きなポイントだと理解をしていただければと思っています。


Speaker 1

平野:単純なデジタル化というよりも経営を巻き込んだ施策ということになるでしょうか?


Speaker 2

日下:そのとおりです。まさにデジタル技術を用いた経営改革がDXであるという風に理解していただければ。


デジタル化とDXの違い


Speaker 1

平野:デジタル化とDXはそもそも何が違うのか簡単に教えていただきたいのですが。



Speaker 2

日下:DXは先ほどお伝えしたように経営改革。
デジタル化というのはある種従来のビジネスモデルだったりとかオペレーションが変わらないというところを前提にして、痛みを伴わない改革であるという風に整理することができます。改革のスコープも個別の事業部における取り組みとかツール導入というものが主眼になってくる。こういったものがデジタル化ですという風な整理ができます。

一方で、DXといった場合にはビジネスモデルとかオペレーション、それから組織改革まで視野に入れたような非常に痛みを伴うような改革、こういったものがDXになります。
当然「現場でお願いします」ではなくて社長を含む経営陣がしっかりプロジェクトをリードして全社横断的な改革をしていきましょうというのがDXのスコープになってきます。


Speaker 1

平野:経営者の方も含んでやっていかないといけないというのが結構ポイントになりそうですね。


Speaker 2

日下:そうです。経営改革なので、まさに経営陣がしっかりとリードをしてくださいというところがDXの一番大きなポイントです。


投資の性格


Speaker 1

平野:経営陣の方を巻き込んでいかないといけないという風におっしゃっていたんですけど、投資の仕方はデジタル化とDXで結構違うものなんでしょうか?



Speaker 2

日下:まさにプロジェクトの進め方とか投資の性格ということも大きく異なってきます。
DXは中長期の改革になっていきますので、できる限りDXプロジェクトの進め方において内製化をするのが大きなポイントです。
外部のベンダーにアウトソーシングをして「お願いします」だったりとか、今までの部署だったりを縦割りで実施をするというところはデジタル化に近いところです。

ただ、ちゃんと必要な人材を内部に抱えていきましょうだったりとか、または外部の人材を使っていく場合もちゃんと社内に知見が残るようにプロジェクトを進めていかなくてはいけないというところがデジタル化とは異なります。
やはり経営改革になっていきますので個別事業部ではなくて全社として最適な形を施行していきましょうという点でプロジェクトの進め方が大きく変わってきます。

投資の性格についても同様で、デジタル化といった場合は、短期間で小規模な投資、DXは長期的で大規模な投資対効果を狙っていきましょうというところが大きな違いです。
デジタル化は、本当に月数百円とか数万円から始めることもできますし、大体投資年数も半年とか1年とかで回収してくるようなイメージです。
一方でDXになってくると、数百万や数千万、場合によっては数億円の投資規模になっていきますし、なかなか効果が出るのにも最低3年、場合によってはそれ以上ぐらい長期の改革なんだというところで投資の意思決定をしていただくというところも大きなポイントかなと思っています。


Speaker 1

平野:中長期とおっしゃったんですけど、日本企業は中長期プロジェクトが不得意な気がするのですが、どうですか?


Speaker 2

日下:凄く難しい質問だなというところですけれども、中長期のプロジェクトは苦手なんですよね。

なぜかというと、社長の任期が決まっていたり、ある一定の期間で成果を残さないといけないというところが足かせになって、なかなか中長期のものが難しいところがあるのかなと思っています。

ただ1年でできる経営改革はたかが知れていると思います。
ですので、やはりそこはちゃんと全社最適で未来を志向していって投資をしていくのが、まずは基本的なDXの考え方というところは理解をした上で短期のロードマップを引いてくるという風な考え方で整理をしていくのが大事だと思っています。


Speaker 1

平野:経営陣の我慢も必要かもしれないですね。


Speaker 2

日下:我慢をして継続をしていくのがDXにおいて非常に大事なポイントです。


Speaker 1

平野:そうでないと巷で言ってるDXを始めたけど何も改革はできなかったという感じになってしまうのかもしれないですね。


Speaker 2

日下:はい。


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「デジタル化」「DX化」の第一歩としてご活用ください。



物流DXとは


Speaker 1

平野:日下さんにはデジタル化とDXのお話をしていただいたんですけど、物流のDXというのは具体的にどういうことですか?



Speaker 2

日下:物流のDXというのは国交省の方が定義をしているものがあって、「機械化・デジタル化・標準化」というところがキーワードで挙げられたりしています。

広義の物流DXといった時は「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」という風な定義がされていたりして、その目的というのは物流DXを通じて他の産業に対する物流優位性を高めていきましょうとか、または国際的な競争力の礎としていきましょうみたいなことが国交省の定義で出てきます。

例えば、ドローンだったり自動配送だったり自動ピッキングだったり自動運転だったりとか、または手続きの電子化とかマッチングシステムだったりトラックのバース予約だったりAI活用だったりとか、そんなものが色々紹介をされているというのが国交省の定義です。


Speaker 1

平野:結構幅広いですね。



Speaker 2

日下:幅広いですね。
国交省の定義も色々あるんですけど、汎用的に言うと次の3つのキーワードに整理ができるのではないかと私としては整理をさせていただいて。
「デジタル化・標準化・省人化」この3つのキーワードの相互関係を理解してDXを推進していくことがポイントなのではないかと思っています。


物流DX3つのポイント


Speaker 1

平野:3つのポイントを簡単に少し説明していただいてもよろしいですか?


Speaker 2

日下:まずは「標準化」と「デジタル化」の関係からいきたいと思います。

「標準化」というのは、企業とか業界の垣根を超えて全体として物流の情報とか機能を繋いでいきましょう、といった活動のことです。

「デジタル化」は皆さんイメージがつくと思うんですけれども物流に関わる全ての情報をちゃんと電子化をして情報を正しく保持をしていきましょうと。
今はまだ結構紙だったりFAXだったり、あるいは頭に入っている情報のみであったりというところをちゃんとデジタル情報に変えていきましょう、ということですね。

「省人化」というのは人による作業や判断をシステムやロボットに変えていきましょう、といった活動のことです。


Speaker 1

平野:標準化・デジタル化はまだ物流業界では進んでいないイメージですね。紙とかFAXでまだやりとりされていると、凄く聞きますけれども。


Speaker 2

日下:なのでまさに「デジタル化」を進めていくというところと、「デジタル化」を単発で進めるとか、「標準化」を単発で進めるのではなくて、これらの相互関係を正しく理解して進めましょうというところがポイントになってきます。

例えばですけれども「標準化」と「デジタル化」の関係についてです。業務プロセスやデータの規格、こういったものを標準化することによって、将来的には荷主との情報の連携がしやすくなって共同配送だったり中継輸送、あるいはサプライチェーンの同期性を高めていくという風な形で物流のレベルを上げることができるのではないかという点です。

これが例えば荷主との情報標準だったりを考えていないと、そこの業務はデジタル化した(のに)その情報は共有できないとか、またはその情報の解釈が違うという問題が起きてしまうので、デジタル化する際には「標準化」というものを頭に入れながらしっかり進めていくことが大事です。


Speaker 1

平野:「標準化」しながらデジタル基盤を作っていくというイメージでしょうか?


Speaker 2

日下:そのとおりです。


Speaker 1

平野:少しずつ紙を減らしてシステム化をしていこうという風な話ですね。


Speaker 2

日下:次が「デジタル化」と「標準化」の理解をどう組み合わせていくのか、または「標準化」と「省人化」の関係です。まずはデジタルにすることによって当然業務が少し楽になっていきますということですね。
今まで人が頑張って手作業で書いていたものが書かなくてよくなったり、計算が速くなったり、正確になったりというところで効果は出てきます。

ただ、それだけではなくて「標準化」をすることによって誰でも業務ができるようになる、いわゆる脱属人化と言われる面。結局その業務が複雑であればあるほど、それができる人を探すことは凄く大変です。
ただ、誰でもできる業務にシステム化することによって採用がしやすくなっていったり、例えばパートタイムでもできる仕事になっていくという風な形で、「標準化」と「デジタル化」を合わせることによって「省人化」の効果もより一層上がってくるのではないか、というところが大事なポイントです。


Speaker 1

平野:この人でなければできないというような業務が凄く物流業界では多そうですけど。


Speaker 2

日下:多いですね。職人肌でやってしまうというところが結構多い業界なので。


Speaker 1

平野:なのでその辺がDX化することによって少しずつ改善するのではないかという話ですね。


Speaker 2

日下:そのとおりです。
最後が「デジタル化」と「標準化」、あるいは「省人化」と「標準化」を、どのように考えていくかですが、「標準化」は結構難しいとお声を聞くんですよね。

どうやって「標準化」すればいいのか?だったり、何を参照して標準にすればいいの?というところも結構お声としては聞きますが、国や業界団体が結構標準規格を作って出しています。
なのでその辺をしっかり見ていきましょうというところがまず一つです。
あとはどう標準を作りにいくかです。「標準化」というと確かに面倒ですと、それがなぜ通用するかというと、結局「標準化」することでみんなが便利になるからですよね。
いわゆるデファクトスタンダードという言葉がありますけれども、先に「デジタル化」だったり「省人化」を進めることによって、(それによって作られたものを)“これをみんなの標準にしていきましょう”(としてもいいですし)、“標準がなければ標準を作りにいくんだ”という考え方で物流DXを進めていくというところが大きなポイントという形です。


Speaker 1

平野:「標準化」となってくるとやはり長期的なアプローチになりますから経営陣のコミットが結構必要になるということになるんでしょうね。


Speaker 2

日下:おっしゃるとおりです。


日本企業でDXが進まない理由


Speaker 1

平野:日下さんは今、DXは経営陣がコミットしないと難しいと話されていましたけど、日本企業のDXが進まない理由は何かあるんですか?



Speaker 2

日下:あるアンケートによると、そもそもDXを知らないと答えた人が5割以上います。


Speaker 1

平野:そんなにいるんですか?


Speaker 2

日下:はい。一部しか分からないという人が3割います。つまり、8割の人がDXそもそも知らないというご回答なんですね。


Speaker 1

平野:もの凄く多いですね。


Speaker 2

日下:中身を見ていくと、進め方が分からないとか、効果がわからないとか、あるいはアプローチが分からない、目的が分からないというところなので効果や進め方が分からないと。それは進みませんよねという話なんですね。
ですので、一番大切なことは、まずはDXをちゃんと勉強しましょうというところです。
この動画だったり、あるいは書籍も出ているのでそこでDXを正しく理解をしてそこからスタートをしていくというところが、実は一番大事なポイントなのではないかなという風に思っています。


Speaker 1

平野:DXが進まないという声はよく聞きますけど、実はそもそも何がDXなのかちゃんと分かっていないということが大きいのかもしれないですね。


Speaker 2

日下:知らないのにできないでしょって凄く簡単な話なので、しっかり勉強してまずはDXをやってみましょうというところが一番大事なポイントかなと思います。


本日のまとめ


Speaker 1

平野:本日はDXのお話をさせていただきました。日下社長、簡単に少しまとめていただけますでしょうか?


Speaker 2

日下:はい。まず1つ目は、DXはデジタル化とは違ってデジタル技術を用いた経営改革なんだというところが1つ目のポイントですね。
物流DXって「何ぞや?」といった時には「デジタル化・標準化・省人化」この3つがキーワードになります。あとはそれぞれを単独ではなくて相互関係の中でしっかりと理解をしていきましょうというところがポイントです。
最後にDXが進まない理由というところについてもお話をさせていただきましたけれども、端的にいうと知識の不足というところなので、知らないと進められないのでちゃんDXを勉強してチャレンジをしてみれば前に進めていくことができるのではないかなという風なお話をさせていただきました。


Speaker 1

平野:今回のように物流ナビでは荷主企業または運送会社の日々の業務に役に立つ情報をお伝えしていきます。チャンネル登録をして皆さんまた次回の更新をお待ちください。本日はありがとうございました。


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