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2030年問題とは?経済社会/物流への影響をわかりやすく


2030年問題とは、少子高齢化や人口減少が進むことによって2030年頃に表面化してくるであろう様々な問題の総称のことです。2030年には全人口のうち約1/3を高齢者が占めるようになると推計されており、経済社会や物流に大きな影響が生じてくることが想定されます。当記事では、2030年問題を紐解くと共に、物流への影響について考察していきます。



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2030年問題とは?



2030年問題とは、少子高齢化や人口減少が進むことによって2030年頃に表面化してくるであろう様々な問題の総称のことです。

日本の高齢化率(日本全体の人口のうち65歳以上の人口が占める割合)は、内閣府「令和5年版高齢社会白書」によると2022年10月時点で29.0%。2030年には全人口のうち約1/3を高齢者が占めるようになると推計されています。

これにより、人件費の高騰、経済成長の停滞、社会保障の負担増など、様々な問題が生じてくることが想定されています。

出典:内閣府「令和5年版高齢社会白書」


2025年には団塊世代が後期高齢者に


2030年問題を先に紹介しましたが、2025年も大きなターニングポイントとされています。2025年は、人口のボリュームゾーンである団塊世代(1947年〜1949年生まれ)の全ての人が後期高齢者(75歳以上)になるためです。

2025年には全人口のうち約18%を後期高齢者が占めるようになると推計されています。認知症患者増加による介護負担の増加や、医療負担の増加、死亡者数の増加などが懸念されています。


2050年 日本の総人口は1億人を下回る


2023年の日本の出生数は過去最少の75.8万人でした。日本は人口減に歯止めがかからない状態となっており、打開策が打たれないまま人口減が続くと2050年には日本の総人口は1億人を下回ると言われています。

2030年以降も、さらに少子高齢化が深刻化していくことが予測されており、少子高齢化の問題は日本経済を揺るがすインパクトのある社会問題として扱われています。

岸田首相は、この状況を鑑み2023年の年頭会見で「異次元の少子化対策」を行うと表明しました。2030年前後に人口割合の大きい団塊世代の孫世代が結婚適齢期に入ります。2030年までに子供を生みやすい環境を整えることが少子化トレンドに歯止めをかけるラストチャンスとして、政府は2028年度までに年3.6兆円規模の対策を行う方針を掲げています。


【2030年問題】2030年に表面化してくるであろう問題とは?



すでに日本は世界に類を見ない超高齢化社会の中にありますが、2030年にはさらに少子高齢化が進行した状態になります。人口構造の変化は経済社会に大きな影響を及ぼします。人件費の高騰、経済成長の停滞、社会保障の負担増などの問題が表面化してくることが想定されます。

労働力減少に伴う人件費高騰

少子高齢化の加速によって、大きな影響が出てくるであろうとされているのが人件費です。

パーソル総合研究所・中央大学が2019年に発表した「労働市場の未来推計2030」によると、2030年の労働需要は7,073万人であるのに対して労働供給は6,429万人で、644万人もの労働力が不足するとしています。

ここ数年、すでに多くの企業で人手不足が課題となっていますが、2030年にはさらに人材獲得競争が激化すると共に、企業においては人材獲得に関わるコストが増大していくことが想定されます。

出典:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」

経済成長の停滞

経済成長への影響も懸念されています。人口数は国力と深く関係しており、人口の減少は経済成長を阻害する要因の一つとなるためです。

生産年齢人口(15~64歳)に対して、従属人口(14歳以下と65歳以上)の割合が高い状態にあることを人口オーナスと言いますが、人口オーナスによって、消費の低迷や、社会保障費の増大などが起こると考えられています。

直近2023年の日本の名目GDPは世界4位でした。日本は、2010年以降、世界3位でしたがドイツに抜かれた格好です。2023年のGDPが世界4位になった要因には円安の影響もありますが、生産年齢人口の減少によるところも少なくなく経済規模が縮小傾向にあります。

日本は他の先進国の成長スピードについていけない状況となっており、日本のGDPは今後さらに順位を下げるのではないかとする見方もあります。

医療・介護費の増大/社会保障費の負担増大

前述しましたように2030年には約1/3が高齢者となります。医療・介護費が増していくことは避けられない状況です。

内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省が2018年に公表した資料では、2040年には医療費が66.7〜68.5兆円になるだろうとする試算結果が記されています。2018年の39.2兆円と比べると約1.7倍です。これを見れば、現役世代による社会保障負担が増大していくことも想像に難くないでしょう。

また、医療・介護ニーズが増大すれば、医療・介護従事者の負担も増していきます。医師・介護士不足がより深刻化していくことも懸念されています。

出典:内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)-概要-」



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【2030年問題】生産年齢人口減少で想定される物流への影響



物流業界は、人口構造の変化の影響を受けやすい業界です。生産年齢人口の減少により、ドライバー不足の深刻化、物流停滞リスクの増大、物流コストの高騰などの問題が生じてくることが想定されます。

ドライバー不足の深刻化/物流停滞リスクの増大

生産年齢人口の減少により、想定されているのが“さらなるドライバー不足”です。かねてから物流業界はドライバー不足が課題となっていますが、さらに深刻な状態になるだろうというのが大方の見方になっています。

今後のドライバー不足の深刻化を裏付けるものとして、ピーク時(1995年)に100万人近くいたドライバーが2030年には60万人を下回るとする試算結果や、何も対策を講じなければ2030年には全体の荷物のうち約3割が運べなくなるとする試算結果などが出ています。

2024年問題、そして生産年齢人口の減少と、労働集約型の産業である物流業界にとっては、まさに二重苦です。

政府は危機的状況を打開しようと様々な政策を講じています。荷待ち時間削減や適正運賃収受を図るため物流2法改正に着手したり、「特定技能」に自動車運送業を追加することを決めるなど、ここにきて大きな動きが見られるようになっています。

【関連記事】
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物流コストの高騰

“さらなるドライバー不足”と共に想定されているのが物流コストの高騰です。日本はすでに2010年代前半から物流インフレ時代に入っていますが、今後さらにインフレが顕著となっていくことが予測されています。

下の図は経済産業省公表の資料中にある物流需給の変遷を示した図です。2030年に向かうにつれて、物流需要と物流供給のギャップが大きく開き物流インフレが進行していくことが見て取れます。

また、物流需要を示す青線に注目すると、2020年〜2030年ではほぼ横ばいで推移しています。あまりに物流コストが上昇し過ぎると物流需要が押し下げられるためです。物流インフレの進行が放置されると、物流需要が押し下げられると共に、GDPの押し下げにもつながると懸念されています。


出典:経済産業省フィジカルインターネット実現会議「フィジカルインターネット・ロードマップ」

地産地消化の進展

今後の輸送力不足や物流コスト増に対応するための動きとして想定されるのが地産地消化の進展です。地産地消とは、地域で生産したモノをその地域で消費することを指します。つまり、長距離輸送を減らそうとする・輸送距離を抑えようとする狙いのもと構築される物流が増えてくるのではないかということです。

すでに2024年問題への対応として、長距離輸送を減らすため活用拠点の再編や生産体制の見直しに取り組む荷主企業なども見られます。実運送を担う事業者側の動きとしても、ドライバーの拘束時間や採算性の問題から長距離輸送をやめる運送会社も出てきています。

今後、長距離輸送を減らそうとする動きが様々な業界で広がっていくことが想定されます。

まとめ


2030年問題とは、少子高齢化や人口減少が進むことによって2030年頃に表面化してくるであろう様々な問題の総称のこと。具体的には、人件費の高騰、経済成長の停滞、社会保障の負担増などの問題が表面化してくるであろうと想定されています。

そして、人口構造の変化の影響を受けやすいのが物流です。今後、生産年齢人口が減少していけば、ドライバー不足の深刻化、物流停滞リスクの増大、物流コストの高騰などの問題が生じてくることが想定されます。

2024年問題、2030年問題と、物流業界は大きな局面を迎えようとしています。



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