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430休憩とは?ポイント解説!2024年4月からの内容をわかりやすく


公開日:2023年5月15日
更新日:2024年7月8日

430休憩とは、「4時間連続で走るなら30分以上休憩しないといけませんよ」というドライバーの連続運転時間に関する決まりのことを指す通称です。ドライバーはいくらでも走り続けていいということではなく、連続運転時間には上限が定められています。

当記事では、新告示(2024年4月〜)の内容を踏まえ、430休憩についてわかりやすく解説していきます。



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430休憩とは?


430休憩とは、「4時間を超える連続運転をする場合には30分以上の休憩を確保しなければならない」というドライバーの連続運転時間に関する決まりのことを指す通称です。

ドライバーの労働条件改善を目的に定められた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」で、連続運転は4時間が上限として規定されています。ドライバーはこれに則り、4時間を超える連続運転をする場合には原則30分以上の休憩を確保しなければなりません。

ちなみに、430休憩の430は「ヨンサンマル」と読みます。

430休憩の対象者は?


改善基準告示(430休憩)の対象者については、厚生労働省作成の「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」というパンフレットのなかにおいて以下のように記載されています。

改善基準告示の対象者は、労働基準法第9条にいう労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)であって、四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事するものです。
そして「四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事するもの」の定義については、以下のように記載があります。
「自動車の運転の業務に主として従事する」か否かは、個別の事案の実態に応じて判断しますが、実態として、物品又は人を運搬するために自動車を運転する時間が現に労働時間の半分を超えており、かつ当該業務に従事する時間が年間総労働時間の半分を超えることが見込まれる場合には、該当することとなります。

このため、例えば、クレーン車のオペレーターが移動のため路上を走行するような場合には、原則として「自動車の運転の業務に主として従事する」に該当しません。
さらに、白ナンバーのドライバーが改善基準告示(430休憩)の対象者になるか、ということについての記載もあります。以下です。
改善基準告示は、運送を業とするか否かを問わず、自動車運転者を労働者として使用する全事業に適用されます。このため、例えば、工場等の製造業における配達部門の自動車運転者等、自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。)の自動車運転者にも適用されます。
つまり、四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事している場合は、緑ナンバー・白ナンバー問わず、改善基準告示(430休憩)が適用されることになります。改善基準告示(430休憩)は緑ナンバートラックを運転するドライバーも白ナンバートラックを運転するドライバーも対象者になるということです。

また、宅配ドライバーも改善基準告示(430休憩)の対象者となります。改善基準告示(430休憩)には特定の自動車運転者を除外する規定は設けられていません。厚生労働省労働基準局「改善基準告示の解釈のQ&A」のなかで以下のように書かれています。
特定の自動車運転者について連続運転時間の規制を適用除外する規定は設けられていないことから、宅配等小口集配業務に従事する自動車運転者についても連続運転時間の規制は適用されます。
出典:厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント 令和6年4月~適用」
出典:厚生労働省労働基準局「改善基準告示の解釈のQ&A」

【関連記事】
白ナンバートラックとは?できること・違法なこと・緑ナンバートラックとの違い


430休憩の“原則休憩”とは?


厚生労働省作成の「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」のなかに「連続運転時間」について書かれたページがあります。このページを見ると、以下のような記載があります。

運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に、30分以上の運転の中断が必要です。中断時には、原則として休憩を与えなければなりません。

“中断時には、原則として休憩を与えなければなりません。”と記載されているのがポイントです。運転の中断時には休憩を確保することが求められていると共に、例外もあるということを含んでいます。厚生労働省労働基準局発行の「改善基準告示の解釈のQ&A」のなかに以下のような記載があります。
業務の実態等を踏まえ、短期的には見直しが難しい等の特段の事情がある場合には、運転の中断時に必ず休憩を与えなければならないものではなく、例えば、荷積み・荷卸しや荷待ちを行ったとしても、改善基準告示違反となるものではありません。
休憩ができるよう運行計画の見直しを求めることを前提とした上で、短期的には見直しが難しい等の特段の事情がある場合には、運転中断時に休憩ではなく荷積み・荷卸しや荷待ちを行ったとしても、改善基準告示違反となるものではないとしています。

出典:厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント 令和6年4月~適用」
出典:厚生労働省労働基準局「改善基準告示の解釈のQ&A」

新告示では”原則休憩”|以前は”原則”という言葉は用いられていなかった


430休憩に関して、以前は”原則”という言葉は用いられていませんでした。旧告示においては、厚生労働省労働基準局作成「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」のなかで以下のように書かれていました。

運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に運転を中断して30分以上の休憩等を確保しなければなりません
原則という言葉は無く、休憩等という言葉が用いられていました。休憩等という言葉が意味するところは非運転時間(運転をしない時間、荷積み荷降ろしも含む)であり、以前は非運転時間を4時間以内または4時間経過直後に30分以上確保すれば別段問題はないということでした。

しかしながら、2024年4月からは運転中断時には休憩が原則となりました。この変更は430休憩の規定に関する大きな変更点であるため、注意が必要です。

出典:厚生労働省労働基準局「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント

430休憩は分割して確保するようにしてもOK


430休憩においての休憩は30分以上確保することが決まりとなっています。が、この30分以上の休憩は、連続して確保しなければならないものではありません。休憩の時間を分割して確保して合計で30分以上になるようにしても認められます。ただし、休憩の時間を分割する際は、1回につきおおむね連続10分以上でなければなりません。

「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」のなかで以下のように書かれています。

「運転の中断は、1回がおおむね連続10分以上とした上で分割することもできます。ただし、1回が10分未満の運転の中断は、3回以上連続してはいけません。」
さらに、「1回が10分未満の運転の中断は、3回以上連続してはいけません。」という記載があります。これは、10分未満の休憩時間が3回続いた場合の3回目の休憩時間は、430休憩としては認められないことを意味しています。例えば、4時間の運転の中で休憩時間が9分→9分→9分→5分となった場合の3回目の休憩時間は430休憩としては認められないということです。この場合、3回目の休憩時間には12分の休憩時間をとらなければ430休憩としては認められません。

出典:厚生労働省労働基準局「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント 令和6年4月~適用


430休憩を分割する際の“おおむね10分以上”とは?


430休憩を分割する際の1回の休憩時間について、“おおむね10分以上”という表現が用いられています。旧告示では“おおむね”という表現は用いられていなかったため、新告示で追加されたものとなります。 そして“おおむね”は、10分にわずかに満たないからといって直ちに改善基準告示違反になるものではないことを意味しています。

しかしながら、ここで注意したいのが“おおむね”という表現を拡大解釈をしてしまわないことです。「改善基準告示の解釈のQ&A」に“おおむね10分以上”の時間の解釈について触れた記載がありましたので、引用いたします。

5分は「おおむね連続10分以上」と乖離しているため、認められません。
上記から、少なくとも5分は認められないということが分かります。


430休憩|休憩場所が確保できず休憩がとれない場合は?


430休憩は、4時間を超える連続運転をする場合には30分以上の休憩を確保しなければならない、という決まりになりますので、大前提として4時間以内または4時間経過直後に30分以上の休憩を確保できるように運行しなければなりません。

そのため余裕をもった計画のもとで運行を行うことや、休憩場所・駐車スペースを調べておく、渋滞情報の共有をドライバーと運行管理者間で行うなどして、計画的に休憩を確保する運行をすることが不可欠となります。

しかしながら、SA・PAや道の駅などが満車で休憩がとれない場合もあります。その場合には、4時間30分まで延長することができます。旧告示ではこのような規定はありませんでしたが、新告示から例外として認められるようになりました。


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430休憩|現行はいつから適用されている?


ドライバーの連続運転時間に関する規定が明記された改善基準告示が制定されたのは平成元年、そこから現行に至るまでに複数回改正されています。直近では令和4年12月23日に改正されており、令和6年4月1日から現行が適用されています。

430休憩に違反した際の罰則は?


430休憩を意味する、4時間を超える連続運転をする場合には30分以上の休憩等を確保しなければならない、という決まりは法律ではありません。そのため、罰則はありません。

しかしながら、430休憩に違反すれば行政処分の対象として、車両使用停止や事業停止などの処分を受ける可能性があります。悪質な場合にはより重い処分となる、運送業の許可取消を受ける可能性もあります。

まとめ:2024年4月からは“休憩等”ではなく“休憩”に


430休憩とは、「4時間を超える連続運転をする場合には30分以上の休憩を確保しなければならない」というドライバーの連続運転時間に関する決まりのことを指す通称です。

改善基準告示にこのような決まりがあることから、運送事業者ならびにトラックドライバーは、4時間を超える連続運転をする場合には、休憩時間が30分以上確保されるよう計画的な運行を行わなくてはなりません。

また、430休憩は、改善基準告示の改正により、2024年4月からは“休憩等”ではなく“休憩”を30分以上確保することが求められるようになりました。以前のように、非運転時間(運転をしない時間、荷積み荷降ろしも含む)を30分以上確保すればいい、ということではなくなりましたので注意が必要です。

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