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トラック新法をわかりやすく!押さえておきたい4つのポイント


2025年6月4日、「トラック新法」が参議院本会議で可決・成立しました。トラック新法は、業界団体の強い要望から具体化した法案であり、運送業界の構造的な問題の解決を図るべく講じられた各種施策が盛り込まれたものとなっています。

当記事では、トラック新法において特に押さえておきたいポイントを4つ挙げるとともに、どのような内容の法案なのかをわかりやすく解説していきます。

※当記事は、2025年6月5日時点の情報をもとに作成しています。

トラック新法とは?


「トラック新法」とは、運送業界における多重下請け構造の是正やドライバーの処遇改善などを目的として法案化されたものです。業界団体の強い要望から具体化した法案であり、運送業界の構造的な問題の解決を図るべく講じられた各種施策が盛り込まれたものとなっています。

詳しくは後述しますが、法案に盛り込まれている施策の中でも特に注目されているのが、運送事業に関する5年ごとの許可更新制の導入です。運送業界は、1990年の物流2法改正により、規制が緩和される流れとなりましたが、今回のトラック新法では反対に規制を強化する方向へ舵を切るものとなっています。

運送業界にとって、昨年の物流2法改正も大きな改正でしたが、今回も非常に大きな改正です。運送業界の潮目が変わっていくのではないかとする見方も出てきています。

なお、「トラック新法」というのは通称です。「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法案」と、これを担保する「体制整備法案」で構成されるものを指します。

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トラック新法、押さえておきたい4つのポイント


トラック新法とは具体的にどのような内容の法案なのか。特に押さえておきたい重要なポイントを4つご紹介いたします。

トラック新法1.貨物自動車運送事業における5年ごとの許可更新制の導入


トラック新法において、特に注目されているのが「貨物自動車運送事業における5年ごとの許可更新制の導入」です。

これまで、運送事業者が事業を行うにあたっては、事業をはじめる際に一度許可を取得すれば、その後は更新の必要なく事業を継続することができました。ですが今回、この仕組みが見直されることになりました。5年ごとに更新を受けることを必須とする許可更新制が導入される見込みとなっています。トラック新法の施行後において、運送事業者は、更新許可を得られなければ事業を継続することができない、ということになります。

1990年の規制緩和によって、運送業界にはたくさんの事業者が参入し、ピーク時にはおよそ6万3千社にまで増えました。その一方で、一部には極端な値引き、いわゆるダンピングや違法行為である過積載運行を行う事業者も出てきてしまい、それがドライバーの処遇を悪化させる一因にもなってしまいました。

今回導入される予定の「許可更新制」は、そうした不適切な取引や違法行為を行う事業者に対しての監視の目を強め、是正を促す仕組みです。ドライバーの処遇や安全対策について5年ごとに審査し、審査に関しては、新たに設けられる独立行政法人が担うことが予定されています。

なお、更新時にクリアしなければならない具体的な項目などについては、2025年6月5日時点ではまだ明らかになっていません。今後、示されていくものと思われます。

トラック新法2.運送業務を下請けに委託する行為を2回までに制限


2つ目が「委託次数の制限」です。施行後は、2次下請けまでの範囲内で輸配送が行われるよう管理をすることが、元請事業者に努力義務として求められることになります。

委託次数の制限に関しては、かねてから公益社団法人全日本トラック協会が「2次下請けまでに制限すべき」と提言していましたが、その提言がいよいよ法案としてかたちになりました。委託が制限されることで、仲介手数料が抑制され、実運送事業者の適正運賃収受や、取引の透明性の向上へとつながっていくことが期待されます。

ただ現場では、繫忙期などの理由から、“トラックが見つからない”ために結果的に3次請け、4次請けとなってしまう、といったことがあるため、額面通り容易にはいかない部分となるかと思います。国が委託制限に関する規定を、これから現場の実態とどのようにすり合わせていくか、注視したい部分です。


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トラック新法3.適正原価の導入、標準的な運賃の廃止


3つ目が「適正原価の導入、標準的な運賃の廃止」です。具体的には、自社が運送する場合や利用運送を行う際の運賃・料金において、国が示す適正原価を継続的に下回らないようにすることが求められるようになる、というものです。

これまで運用されてきた「標準的な運賃」は、あくまで運賃や料金の目安を示したものであり、法的根拠がなく強制力がなかったことから、十分に機能しているとは言い難い状況でした。このような背景から、今後「標準的な運賃」は撤廃、代わって「適正原価」が導入されることとなります。

法的根拠のある「適正原価」を導入することで、運送事業者のダンピングはもとより、荷主が運送事業者へ不当な運賃を要求することへの大きな抑止力になることが期待されます。

また、適正原価が何を根拠に算定されるかという点に関しては、参議院のページ内の議案要旨に書かれています。以下。

「燃料費、人件費、委託手数料等の事業の適正な運営の確保のために通常必要と認められる費用を的確に反映した積算を行うことにより、貨物自動車運送事業の適正な運営を図るための原価である適正原価を定める」
出典:参議院「議案要旨」

とあり、運送事業の適正な運営のために必要な費用を反映するとしています。

なお、適正原価の導入後に関して、運送事業者が適正原価を下回る運賃で運送を続けた場合、行政処分の対象となるおそれがあります。そのため、運送事業者は荷主と粘り強く交渉をしていく必要があり、一方で適正原価の考え方に理解を示さない場合には、取引の継続自体を見直す判断も必要になるかもしれません。とはいえ、トラック新法施行後も、荷主側で十分な認知が進んでいない可能性があります。まずは、適正原価の趣旨について、荷主に対して丁寧に説明し、理解を得ることが重要となります。

トラック新法4.白トラを利用する荷主等への要請・勧告・公表


4つ目が「白トラ対策の強化」です。具体的には、白トラを利用する荷主に対して、関係行政機関への通報や要請・勧告・公表などを行えるようにするといったものです。

これまで、無許可営業を行ういわゆる白トラを利用する側に対しての罰則が無かったために、白トラを利用する荷主を取り締まることが難しいのが実情でした。これに対処しようというのが今回の施策です。白トラ営業を行う事業者を取り締まるのはもちろんですが、利用する側に対する取り締まりも強化していこうといったものになります。

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トラック新法の施行はいつから?


トラック新法の施行日について、「委託制限」「白トラ対策」は公布日から1年以内の施行、「許可更新制」「適正原価の導入」は公布日から3年以内の施行が予定されています。

ただし、2025年6月5日時点で、まだはっきりしたものは国から示されていません。具体的な施行日については、今後、政令で示すとしています。

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