初心者向けかんたん物流コラム
2024年4月1日から、時間外労働の上限規制がドライバー職に適用されます。多くのメディアで「2024年問題」として扱われ、運送業界、ひいては物流全体への影響を危惧する声が挙がっています。
ただ、ドライバーの働き方に関する大きな変更はこれだけではありません。2023年にも大きな変更があるのです。
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目次
月60時間超の時間外割増賃金率引き上げが2023年4月1日から中小企業にも適用されます。大企業で2010年4月からすでに適用されていたもので、中小企業への適用は猶予されていました。
運送業界では、時間外労働の上限規制が2024年4月1日からドライバー職に適用されることが「2024年問題」として大きく取り上げられていますが、実は2023年にもトラックドライバーの働き方に関する大きな変更があるのです。
「2024年問題」のように大々的に扱われているわけではありませんが、運送会社への影響は少なくないものと想定できます。
2023年4月1日からは、月60時間超の時間外労働に対しての割増賃金率は50%になります。これまで月60時間超の時間外労働に対しての割増賃金率は25%でしたが、2023年4月1日からは倍になるということです。
2023年問題で想定される影響を運送会社側と荷主企業側とで分けて見ていきたいと思います。
まずは運送会社側です。当然ながら人件費の増加が想定できます。具体的に、割増賃金率が25%と50%で人件費はどのくらい違ってくるのかといいますと、公益社団法人全日本トラック協会の資料で解説されている図が分かりやすいので、こちらの図をご確認いただければと思います。
出典:「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン(解説書)【概要版】」公益社団法人全日本トラック協会
上の図のような場合、月で6,300円の人件費増となり、もし同様のトラックドライバーが10人いれば63,000円の人件費増、年に換算すれば756,000円もの人件費増です。月60時間を超える時間外労働が毎月のように続くと人件費が重くのしかかってくることになります。
次に荷主企業側です。荷主企業側は運賃の上昇が想定されます。運送会社の人件費が増加した場合、運送会社は運賃に転嫁しなければ利益が圧迫されることになるためです。荷主企業にとって運送会社の人件費の増加は他人事ではありません。
運送会社と荷主企業の双方に影響が及ぶことが想定されます。
ここからは、割増賃金の算定にあたって知っておきたいことについていくつかご紹介していきたいと思います。
まずは、割増賃金率と深夜労働との関係についてです。深夜の時間帯(22:00~5:00)の労働は、そもそも25%以上の割増賃金率がかかります。
そのため、月60時間を超える時間外労働を深夜の時間帯(22:00~5:00)にすると、割増賃金率は50%に25%が加わって75%になるということになります。
次は、時間外労働時間の算定をする際、休日の労働時間をどう扱うのかという点についてです。休日の労働時間は時間外労働時間に含まれるのでしょうか?
法定休日に休日労働をした場合、その労働時間は時間外労働時間には含まれません。ただ、法定休日の労働時間には、35%以上の割増賃金率をかけることになっています。
●法定休日とは?
労働基準法で定められている使用者が労働者に対して必ず与えなければならない休日のことです。使用者は労働者に対して、1週間のうち1日または4週間のうち4日の休日を必ず与えなければなりません。
法定外休日に休日労働をした場合、その労働時間が週40時間(法定労働時間)を超えている場合は、時間外労働時間に含まれます。
●法定外休日とは?
使用者が労働者に対して、法定休日以外に与えている休日のことです。例えば完全週休2日制を採用している企業の場合、週休2日のうち1日は法定外休日ということになります。
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割増賃金に関係する制度として代替休暇制度というものがあります。労働者の健康を確保する観点から、引き上げ分の割増賃金を休暇に代替できる制度です。
ただし、労働者側と労使協定を締結していることが必須となります。労働者の過半数で構成される労働組合がある場合は労働組合と、労働組合がない場合は労働者の過半数の代表者と、労使協定を締結しなければなりません。
月60時間超の時間外割増賃金率引き上げによって、人件費が増していくことが想定できることから、運送会社においては、今後いかにしてトラックドライバーの労働時間を短縮させていくかというのがポイントとなりそうです。
2024年4月には、いわゆる「2024年問題」といわれている時間外労働の上限規制の適用も待ち受けています。トラックドライバーの時間外労働が多い傾向にある運送会社にとっては、トラックドライバーの労働時間短縮への取り組みを推進せざるを得ない状況ともいえます。
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2024年問題対策|ドライバーの労働時間短縮に有効な5つの取り組み
社会全体の傾向として労働時間短縮をさせようという流れは強まってきています。運送会社においては売上減少などのマイナス面が心配されますが、一方で労働時間短縮などの業務環境の改善を図ることは、雇用促進などのプラス面も期待できます。
最近は「稼げれば、残業が多くても休みがなくても構わない」という考え方を持っている若者が減っている傾向にあるようです。余暇や家族との時間を確保しながら働きたいと考えている人も多いでしょう。
労働時間短縮が実現されれば、それを若者に積極的にアピールすることもできます。プラス面に目を向けて労働時間短縮の取り組みを推進するのもひとつではないでしょうか。
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