【広報コラム】

初心者向けかんたん物流コラム

物流効率化法|連鎖化事業者の定義や求められる取り組みの内容とは?


昨年改正された物流効率化法により、様々な事業者に物流効率化に向けた取り組みが努力義務として求められるようになりました。この対象には連鎖化事業者も含まれており、すでに2025年4月から物流効率化法に則った取り組みを行うことが必要となっています。

当記事では、どのような事業者が連鎖化事業者に該当するのか、連鎖化事業者にはどのような取り組みが求められるのか、などについて解説していきます。

※当記事は、2025年7月25日時点の情報をもとに作成しております。

物流効率化法における連鎖化事業者とは?


物流効率化法における連鎖化事業者とは、フランチャイズチェーンを展開する事業者の本部のことを指します。例としては、コンビニエンスストアチェーンの本部や飲食チェーンの本部などが挙げられます。

具体的には、加盟店と運送事業者との間の貨物の受渡しに関して、運送事業者に直接指示を出せる権限のあるフランチャイズチェーンの本部、あるいは加盟店を通じて指示を出せる権限のあるフランチャイズチェーンの本部が、物流効率化法における連鎖化事業者に該当します。

運送事業者に指示を出せる場合、貨物の受渡しの日時を調整するなどして物流効率化を図ることが可能であるため、物流効率化法の対象事業者(連鎖化事業者)に該当するというわけです。

一方で、加盟店と運送事業者間の貨物の受渡しに関して、運送事業者に指示を出す権限のないフランチャイズチェーンの本部は物流効率化法でいう連鎖化事業者にはあてはまらない、ということになります。

物流効率化に向けた取り組みはすべての連鎖化事業者が対象


前述しましたように、運送事業者に指示を出せる権限のあるフランチャイズチェーンの本部は、連鎖化事業者に該当します。そして、物流効率化法の施行により、2025年4月から、すべての連鎖化事業者には、荷待ち時間短縮や積載効率向上などといった物流効率化に向けた取り組みが努力義務として課されています。

連鎖化事業者の努力義務の具体的な内容は以下です。

連鎖化事業者の努力義務について(法第61条)
連鎖化事業者は、連鎖対象者(加盟店)の貨物について、連鎖対象者が貨物の受取りを行う場合、貨物を運送する運転者の荷待ち時間の短縮や積載効率の向上等に努めなければなりません。

・貨物の受渡しを行う日及び時刻又は時間帯を運転者に指示するに当たっては、停留場所の数その他の条件により定まる荷役をすることができる車両台数を上回り一時に多数のトラックが集貨・配達場所に到着しないようにすること。【荷待ち時間の短縮】

・フランチャイズチェーンの貨物を扱う第一種荷主が積載効率の向上等に関する措置を円滑に実施するため貨物の受渡しを行う日及び時刻又は時間帯について協議したい旨を申し出た場合にあっては、これに応じて、必要な協力を行うこと。【積載効率の向上等】
出典:国土交通省・経済産業省・農林水産省「物流効率化法 理解促進ポータルサイト.連鎖化事業者の努力義務」

【関連記事】
物流効率化法|第一種荷主と第二種荷主の定義・違いとは?

物流効率化に向けた取り組みを進める際は国が示す判断基準を参考にする


連鎖化事業者など物流効率化法の対象となる事業者が、物流効率化に向けた取り組みを進める際には、国が示す判断基準を踏まえた上で取り組みを進めていく必要があります。

判断基準は、国が事業者に対して「このような取り組みを行ってください」と取り組み例を示したものであり、事業者が適切な取り組みを行っているかを国が判断する基準にもなります。そのため、当該事業者においては、すでに自社で何らかの物流効率化の取り組みを行っていたとしても、判断基準に目を通し、改めて取り組みについて精査する必要があります。

連鎖化事業者の判断基準の概要については以下です。

(2)運転者の荷待ち時間の短縮
集貨又は配達を行うべき場所に、一時に多数のトラックが集中して到着しないよう、当該場所の状況を把握すること等により、貨物の入出荷時の日時等を分散させること
(3)運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加
① 第一種荷主が積載効率の向上等の取組のために協議したい旨を申し出た場合は、必要な協力を行うこと
② 貨物の量の平準化、受渡日時の集約等により、貨物の入荷時の日時等を分散させること
③ 配車・運行計画作成システムの導入等により、配車計画又は運行経路の最適化を行うこと
④ ①~③の取組が適切かつ円滑に行われるよう、貨物の受渡しに係る部門間の連携を促進すること
出典:経済産業省「連鎖化事業者の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化に関する判断の基準の解説書.18P」

上記のように、連鎖化事業者においては、「運転者の荷待ち時間の短縮」と「運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加(積載効率の向上)」の判断基準が示されており、それぞれ判断基準を踏まえた取り組みを推進していくことが求められます。

一定規模以上の連鎖化事業者は特定連鎖化事業者として指定される


物流効率化法において、年間(前年度)の取扱貨物重量が基準値以上の連鎖化事業者は、特定連鎖化事業者として指定されます。基準値については、2025年7月25日時点で決定には至っていませんが9万トン以上となることが想定されており(※)、このままいけば年間の取扱貨物重量が9万トン以上の連鎖化事業者が特定連鎖化事業者として指定されることになります。

なお、9万トン以上という基準値は国内の取扱貨物量の50%をカバーすることを根拠に算出された数値です。連鎖化事業者と荷主を合わせて上位約3,200社が対象となることが想定されています。

(※)2025年8月5日、特定連鎖化事業者の指定基準値は「取扱貨物重量9万トン以上(年間)」で決定しました。

特定連鎖化事業者は中長期計画の作成などが義務に


一定規模以上の連鎖化事業者は特定連鎖化事業者として指定され、2026年4月からは「中長期的な計画の作成」「物流統括管理者(CLO)の選任」「定期報告」が義務として課されることになります。

「中長期的な計画の作成」「物流統括管理者(CLO)の選任」「定期報告」については以下の記事内で解説しています。
物流効率化法|26年4月から特定荷主に加わる措置(義務)の内容


株式会社ライナロジクス作成の実運送体制管理簿エクセルテンプレートを無料でダウンロードいただけます。
国が規定する必須項目に基づき作成した実運送体制管理簿エクセルテンプレートです。
ぜひダウンロードいただき、日々の業務にお役立てください!

実運送体制管理簿テンプレートのダウンロードボタン

まとめ


物流効率化法における連鎖化事業者とは、フランチャイズチェーンを展開する事業者の本部のこと。具体的には、加盟店と運送事業者との間の貨物の受渡しに関して運送事業者に指示を出せるフランチャイズチェーンの本部をいいます。

連鎖化事業者には、物流効率化に向けた取り組みを行うことが努力義務として求められており、その際、判断基準を踏まえた上で取り組みを進めていくことが重要です。

また、一定規模以上の連鎖化事業者は、特定連鎖化事業者として指定され、2026年4月から特定連鎖化事業者には「中長期的な計画の作成」「物流統括管理者(CLO)の選任」「定期報告」が義務として課される予定です。

【25年の実績】積載効率向上の取り組みにご活用いただけるAI自動配車システム


弊社(株式会社ライナロジクス)はAI自動配車システムを開発・提供しているベンダーとして20年超の実績があります。2000年の創業より、お客様の配車業務のデジタル化を支援してまいりました。自動配車システムの導入・活用に関して、ご質問や疑問点等がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

主力製品:AI自動配車システム「LYNA 自動配車クラウド」
製品ページURL:https://lynalogics.com/service/dispatch/

「LYNA 自動配車クラウド」は、積載効率向上を目的とした使い方においても多数の実績を持つ自動配車システムです。物流効率化法における国が示す判断基準を踏まえた取り組みにも対応するシステムとなります。

「LYNA 自動配車クラウド」の詳細はこちらから

「LYNA 自動配車クラウド」に関する問い合わせはこちらから

「LYNA 自動配車クラウド」は無料トライアルも受け付けております。無料トライアルはこちらから


あなたにおすすめの記事


配車係とは?業務内容・向いている人・必要な資格・きついのは本当?

運送業の実態を現役トラックドライバーに聞いてみた

物流業界の動向|現状や課題とは?今後はどうなる?


過積載とは?過積載が起こる背景や危険な理由・罰則・防止対策など

【2023年最新】物流DXとはそもそも何か?ロジスティクスのプロが徹底解説!



<<< 物流コラム一覧はこちら


[sc]
お役立ち情報