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26年度から特定荷主に物流統括管理者(CLO)の選任が義務付け|改正物流効率化法


改正物流効率化法により、来年度から、特定荷主と特定連鎖化事業者には物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けられることになりました。来年度以降、対象企業においては、物流統括管理者(CLO)を中心とした体制を構築し、物流効率化に向けた取り組みを推し進めていくことが必要となります。

当記事では、物流統括管理者(CLO)を選任するにあたっての要件や、物流統括管理者(CLO)に求められる具体的な業務などについて、分かりやすく解説していきます。

※当記事は、2025年6月30日時点の情報をもとに作成しています。

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物流統括管理者(CLO)とは?


改正物流効率化法における物流統括管理者(CLO)とは、自社の物流全体を統括管理し、効率化に資する取り組みを主導する者のことを指します。物流統括管理者(CLO)は改正物流効率化法に基づく義務としての取り組みを全社的に推進する責任を担う立場にあり、具体的には、物流効率化に向けた計画の策定や体制整備、社内外との調整を行うことなどが求められます。

なお、CLOは「Chief Logistics Officer(チーフ・ロジスティクス・オフィサー)」の頭文字をとった略称です。最高ロジスティクス責任者やロジスティクス担当役員などと訳され、アメリカでは、企業のロジスティクス戦略の立案・実行を担う非常に重要な役職として認識されています。改正物流効率化法における物流統括管理者とCLOでは、管理対象が物流とロジスティクスというように異なるため、厳密には異なる意味を持つ言葉ということになります。ただ、改正物流効率化法においては、区別されて定義されているわけではなく、ほぼ同義の言葉として用いられていると考えられます。


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物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けとなる対象企業


物流統括管理者(CLO)の選任が義務となるのは、特定荷主と特定連鎖化事業者です。そして、ここでいう特定荷主と特定連鎖化事業者は、改正物流効率化法で規定される一定規模以上の荷主と連鎖化事業者のことを指します。一定規模以上という規模感については、現時点(2025年6月30日時点)でまだ決定はしていませんが、下記のような値が基準値となることが想定されています。

指定基準値:年間(前年度)の取扱貨物の重量が9万トン以上

つまり、年間の取扱貨物重量が9万トン以上の荷主・連鎖化事業者は、特定荷主・特定連鎖化事業者として指定されるとともに、物流統括管理者(CLO)を選任しなければならない対象企業になる、ということになります。

物流統括管理者(CLO)の選任にあたって、どのような人物が適任か


物流統括管理者(CLO)の選任にあたっては、「役員等の経営幹部から選任」することが必要だとしています。その理由としては、「合同会議取りまとめ(改正物流効率化法の細かな規定の審議がされていた合同会議の内容を取りまとめたもの)」の中において以下のように記載されています。

物流統括管理者の業務を遂行するためには、運送(輸送)、荷役といった物流の各機能を改善することだけではなく、調達、生産、販売等の物流の各分野を統合して、流通全体の効率化を計画するため、関係部署間の調整に加え、取引先等の社外事業者等との水平連携や垂直連携を推進することなどが求められ、これらの観点から事業運営上の決定を主導することとなる。

このため、ロジスティクスを司るいわゆるCLOとしての経営管理の視点や役割も期待されていることから、その立場としては、基本として、重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任されることが必要である。
出典:交通政策審議会 交通体系分科会 物流部会・産業構造審議会 商務流通情報分科会 流通小委員会・食料・農業・農村政策審議会 食料産業部会 物流小委員会「合同会議取りまとめ」

他、物流統括管理者(CLO)の選任要件において、勤務場所がどこであるか、常勤か非常勤か、などは問わないとしています。

物流統括管理者(CLO)の選任・届出(想定スケジュール)


物流統括管理者(CLO)の選任・届出はいつまでにしたらいいのかといった点について、国は、特定事業者(特定荷主や特定連鎖化事業者)として指定された後に速やかに行うことといった見解を示しています。現時点(2025年6月30日時点)で、「特定事業者の届出〜指定手続」は2026年5月末が想定されていることから、物流統括管理者(CLO)の選任・届出は2026年5月~6月に行うことが想定されます。
出典:経済産業省「改正物流効率化法の概要について」

物流統括管理者(CLO)に求められる業務・役割


物流統括管理者(CLO)に求められる業務について、大まかには以下の3つです。

以下の業務の統括管理
①中長期計画の作成
➁トラックドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備
➂その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務
出典:経済産業省「物流効率化法 理解促進ポータルサイト.物流統括管理者(CLO)の選任」

順に解説していきます。

物流統括管理者(CLO)の業務1.中長期計画の作成


物流統括管理者(CLO)には、中長期計画の作成が求められます。中長期計画は、特定事業者(特定荷主や特定連鎖化事業者など)に義務付けられる取り組みの一つであり、自社の物流を効率化するにあたっての中長期計画を作成し、国に提出するといったものです。物流統括管理者(CLO)には、こうした取り組みの統括管理を行い、その責任を果たすことが求められます。

なお、中長期計画に記載する具体的な内容については以下です。

判断基準で示す取組事項を踏まえ、「運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加」、「運転者の荷待ち時間の短縮」、「運転者の荷役等時間の短縮」に関し、
(ⅰ)実施する措置
(ⅱ)具体的な措置の内容・目標等
(ⅲ)実施時期等
(ⅳ)参考事項
を記載することとされています。
出典:経済産業省「物流効率化法 理解促進ポータルサイト.中長期的な計画の作成」

他、中長期計画は基本的に毎年度提出することが義務となります。ただ、変更が無い場合は5年に1度の提出で構わないとしています。

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物流統括管理者(CLO)の業務2.トラックドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備


2つ目が「トラックドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備」です。

これに関して、まだ国から細かな規定は示されていませんが、「トラックドライバーの負荷低減」であれば、トラックバースにおける予約受付の徹底や配送ルートの見直しなど、「物資のトラックへの過度の集中の是正」であれば、余裕のある納品リードタイムの設定や需要予測に基づく発注量の調整・分散など、物流統括管理者(CLO)にはこのようなそれぞれの物流課題に応じた施策を盛り込んだ事業運営方針の作成と事業管理体制の整備の統括管理を行うことが必要になると想定されます。


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物流統括管理者(CLO)の業務3.その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務


3つ目が「「その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務」」です。物流統括管理者(CLO)は、「その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務」として、以下の業務の統括管理も行う必要があるとしています。

(ⅰ)定期報告の作成
(ⅱ)貨物運送の委託・受渡しの状況に関する国からの報告徴収に対する当該報告の作成
(ⅲ)事事業運営上の重要な決定に参画する立場から、リードタイムの確保、発注・発送量の適正化等のための社内の関係部門(開発・調達・生産・販売・在庫・物流等)間の連携体制の構築
(ⅳ)トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のための設備投資、デジタル化、物流標準化に向けた事業計画の作成、実施及び評価
(ⅴ)トラックドライバーの運送・荷役等の効率化に関する職員の意識向上に向けた社内研修等の実施
(ⅵ)物資の保管・輸送の最適化に向けた物流効率化のため、調達先及び納品先等の物流統括管理者や物流事業者等の関係者との連携・調整
出典:経済産業省「物流効率化法 理解促進ポータルサイト.物流統括管理者(CLO)の選任」

物流統括管理者(CLO)を選任しなかった企業への罰則


物流統括管理者(CLO)を選任しなかった企業(特定荷主・特定連鎖化事業者)には罰則として百万円以下の罰金が科されます。また、物流統括管理者(CLO)の選任の届出を怠った企業には20万円以下の過料が科されます。

まとめ


改正物流効率化法における物流統括管理者(CLO)とは、自社の物流全体を統括管理し、効率化に資する取り組みを主導する者のことであり、特定荷主・特定連鎖化事業者においては来年度から選任することが義務となります。

選任にあたっては、「役員等の経営幹部から選任」することが望ましく、勤務場所や常勤・非常勤は問わないとしています。

そして、物流統括管理者(CLO)に求められる業務としては、大まかには以下の3つです。

以下の業務の統括管理
①中長期計画の作成
➁トラックドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備
➂その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務
出典:経済産業省「物流効率化法 理解促進ポータルサイト.物流統括管理者(CLO)の選任 」

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