初心者向けかんたん物流コラム
運送業界が抱える課題のなかでも、特に深刻なものとして扱われているのがドライバー不足です。
今や社会課題にまでなろうとしています。なぜここまで深刻化してしまったのでしょうか?
要因を紐解いていくとともに、対策のポイントなどについても解説していきます。
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目次
ドライバー不足は、今や社会課題にまでなろうとしています。「数年後にはモノが運べなくなるのでは?」と危惧されているほどです。少子高齢化や厳しい労働環境など、様々な要因が重なり一筋縄ではいかない大きな課題となってしまっているのです。
実際、ドライバー不足である現状はデータにも如実に表れています。下の表は厚生労働省が作成した貨物自動車運転手と全業種平均の有効求人倍率を示したグラフですが、グラフを見ると令和3年5月時点では、全業種平均よりも貨物自動車運転手が2倍ほど高くなっていることが分かります。ピーク時よりも改善してはいるものの、依然として他業種と比べると有効求人倍率は高いままです。
出典:厚生労働省 トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト「トラック運転者の有効求人倍率」
他にも、公益社団法人全日本トラック協会の公式サイトで四半期ごとに発表されている「トラック運送業界の景況感(速報)」という資料を見ると、「雇用状況」が掲載されているのですが、「不足」と「やや不足」の回答を含めた数は、令和3年1月から12月まで、約4割から6割の間を推移しています。ドライバー不足に苛まれている運送事業者がいかに多いかが分かります。
運送業界は労働集約型産業です。そのため労働力が欠かせません。今後は、高齢ドライバーの大量退職やドライバーへの時間外労働の上限規制適用(2024年問題)などが待ち受けています。このままドライバー不足が改善されない状況が続けば物流の停滞を招いてしまう恐れすらあるのです。
【2024年問題について詳しく知りたい方はこちら】
物流・運送業界に差し迫る2024年問題とは? 働き方改革関連法による3つの大きな改正点
ドライバー不足となってしまっている背景には複数の要因が存在しています。考えられる要因を5つご紹介したいと思います。
複数あるドライバー不足の要因の中でも、主要因とされているのが他産業に比べ劣る労働環境や待遇です。下の図は公益社団法人全日本トラック協会発行の「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2022」に掲載されているものですが、これを見ると、トラックドライバーは年間所得額も年間労働時間も全産業平均と比べると低水準になっていることが分かります。
出典:公益社団法人全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2022」
トラックドライバーは「低賃金なうえ、長時間労働」というまさにダブルパンチのような状態になってしまっているのです。運送業界は若年層の割合が非常に低いことも課題であり、このような労働環境や待遇が若年層が入ってきづらい要因にもなっているとされています。
日本社会が少子高齢化社会であることも、ドライバー不足の要因となっています。前述しましたように運送業界は労働集約型産業のため、労働力が欠かせません。このような業界の特性がある中で、少子高齢化が加速し生産年齢人口が減少してしまっているのです。
つまり、少なくなっているパイの中で、他産業を含めた沢山の企業と人材を取り合っているということになります。
生産年齢人口は、1995年がピークで8716万人でしたが、2020年には7508万人まで減っています(国勢調査)。1995年から約14%減少しているのです。運送業界にとっては影響は少なくないでしょう。
最近は車を所有しない・車に興味を持たない若者が多くなっている、いわゆる「若者の車離れ」が進んでいることも、ドライバー不足のひとつの要因と言えます。
トラックドライバーといえば、「車が好き、運転が好き」という理由でなる人の多い職業ですが、最近は免許すら持たない若者が増えてきているのです。
警察庁のサイトから、令和3年版から平成13年版までの運転免許統計を見ることができるのですが、最新の令和3年版のデータを、掲載されている一番古い平成13年版のデータと見比べると、10代と20代を合わせた運転免許保有者数は、約655万人の減少となっています。
かっこいいトラックに乗りたいという人やドライバー職に憧れを持っている人も少なくなってきているでしょう。
2017年に運転免許制度が改正されたことで、新たに普通免許を取得した人は普通免許では基本2トントラックを運転することができなくなりました。
以前の免許制度であれば、普通免許で近距離輸送などで多様されている2トントラックを運転できましたが、準中型免許が新設された現行の免許制度では、普通免許で運転できるのは軽トラックやライトバンなど最大積載量が2トン未満の車となります。
ドライバー志望者にとっては、就職先の運送会社を探す際、準中型免許以上を取得しないと選択肢を広げられないということになります。車や運転が好きでドライバーを志す人にとってはハードルに感じない点かもしれませんが、その他の理由でドライバーを志す人にとってはハードルとなって存在しているかもしれません。
近年、ECによる宅配需要が急増していますが、これもドライバー不足を招いている要因です。宅配の取扱個数は年々増加しており、国土交通省のデータでは2021年度まで7年連続で最多を更新しています。
宅配需要の伸びに対して、ドライバーの数が追い付いていないのが現状です。さらには、宅配サービスの高度化により、ドライバーの負担も増してしまっています。
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次はドライバー不足がさらに深刻になる可能性についてです。ネガティブな部分ばかりとなってしまいますが、実はこれからがさらに心配なのです。その要因としては、高齢ドライバーの大量退職や、ドライバーへの時間外労働の上限規制適用(2024年問題)などが待ち受けていることが挙げられます。
運送業界は50代以上のドライバーの割合が多く、その割合は半分に迫ろうとする勢いです。この先、若年層のドライバーが増えないまま推移すると、高齢ドライバーの退職にともなってドライバーも不足していくということが起きてしまうのです。
さらには、2024年4月には、ドライバーに対して時間外労働の上限規制が適用されます。これはドライバーの時間外労働を強制的に減らすものですので、稼ぎの減るドライバーも生じてくることが想定されます。そのため、稼げなくなったドライバーが他の業界・仕事へと離れていってしまう恐れがあるのです。
運送業界がドライバー不足に陥っている主要因は、「低賃金・長時間労働」という他産業に比べ劣る労働環境です。そのため、ドライバーを確保するためには、まず働き方改革を推し進めることがポイントとなります。
特に若年層の人材を確保しようとした際には重要です。最近は「稼げるなら、長時間労働になっても休みが少なくても仕方ない」という考え方を持った若者が減っている傾向にあるためです。
そのため、労働時間を減らす取り組みを積極的に取り入れたり、ホワイト物流に賛同しその取り組みを進めたりすることで、若者を含め多様な人材に長く働いてもらうための土壌をつくっておくことが必要です。
さらにはこのような取り組みを、自社のコーポレートサイトやSNSなどを活用して、積極的に情報発信していくこともポイントとなります。
また、働き方改革推進に関する取り組みの紹介の他、志望者に安心を与えるよう、ドライバー職が未経験だった先輩社員の声や若手社員のキャリアプランをコーポレートサイトにのせたり、資格取得のサポート制度や教育制度の充実を図っていることをアピールしたりするのも手です。
【ドライバーの労働時間短縮に有効な取り組みについて詳しく知りたい方はこちら】
2024年問題対策|ドライバーの労働時間短縮に有効な5つの取り組み
【ホワイト物流について詳しく知りたい方はこちら】
ホワイト物流とは? ホワイト物流推進運動の概要と参加方法を解説
ドライバー不足は、今や社会課題にまでなろうとしています。今後は、高齢ドライバーの大量退職やドライバーへの時間外労働の上限規制適用(2024年問題)などが待ち受けており、さらに深刻化することが想定されます。
運送業界に人が集まらない主要因は、「低賃金・長時間労働」という、他産業に比べ劣る労働環境や待遇です。
今後、運送会社が若手ドライバーを確保するためには、働き方改革を推し進める、特に労働時間の削減に対する取り組みが重要となります。
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