【広報コラム】

初心者向けかんたん物流コラム

貨客混載とは?メリット・デメリット、観光客のニーズに応える画期的な事例も


貨客混載とは、貨物と旅客を一緒に輸送する輸送方式のことです。車両の空きスペースの活用により、輸送効率向上や環境負荷低減に寄与します。

近年では、バスの他、タクシーによる貨客混載も全国で解禁されたことから、各地で新たな取り組みが見られるようになりました。地域経済の活性化や物流・インフラ維持に寄与する取り組み事例をはじめ、貨客混載をベースとした新たなサービスなども生まれており、その可能性が広がりつつあります。

貨客混載とは?


貨客混載とは、貨物と旅客を一緒に輸送する輸送方式のことです。本来旅客を輸送するために使用するバス・タクシー・鉄道であれば、旅客と一緒に貨物を輸送することを指し、本来貨物を輸送するために使用するトラックであれば、貨物と一緒に旅客を輸送することを指します。

貨客混載は、ドライバー不足の深刻化などにより人流・物流サービスの維持が困難となる状況を鑑みて、2017年に一定の条件下で解禁されました。そして、当初は、乗合バスのみ全国、貸切バス・タクシー・トラックは過疎地域に限り認められていましたが、2023年からは貸切バス・タクシー・トラックも全国で実施できるようになりました(※)。

貨客混載の取り組みは少しずつではありますが全国で広がってきており、貨客混載から新たなサービスが生まれるなどの好事例も出てきています。

(※)貨客混載を行うためには事業許可の取得など、国が設ける要件を満たす必要があります。

貨客混載の事例


貨客混載が解禁されて以降、全国で取り組みが広がっています。バス・鉄道・タクシー、それぞれの事例をご紹介いたします。

バス:宮崎県西米良村


人口減少や高齢化が進む宮崎県西米良村では、2020年3月から村営バスを利用した貨客混載の取り組みが行われています。具体的には、西米良村の中心部から約21Km離れた地区までの区間を、村営バスによって貨客混載で輸送するというもので、バスの乗客と宅配物とが一緒に輸送されています。

また、この取り組みは、佐川急便と日本郵便とヤマト運輸の大手3社が参画、さらには白ナンバーである村営バスが貨客混載を行うなど、前例のない取り組みとしても注目されています。

出典:西米良村「カリコボーズのホイホイ便(プレスリリース)」


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鉄道:JR東日本「はこビュン」


JR東日本では、2021年10月から貨客混載サービス「はこビュン」をスタートさせています。「はこビュン」は、新幹線や特急列車の空きスペースおよび専用荷物スペースを活用し、出発駅から到着駅まで輸送を行うといったもの。鉄道の特長をいかし、スピーディーかつ安定的な輸送を実現しています。

また、以前は比較的小口での対応がメインだったものの、2025年4月からは大口の貨物への対応にも着手。法人需要の増大を見込み、サービスの拡大を進めています。

出典:株式会社ジェイアール東日本物流「はこビュン」

タクシー:株式会社キャビック「お荷物チェックインTAXI」


観光需要の多い京都市では、株式会社キャビックが2023年10月から画期的な貨客混載サービスを展開しています。「お荷物チェックインTAXI」というサービスで、タクシーの乗客を目的地まで送り、その乗客の手荷物を宿泊先まで配送するといったもの。

京都は国内屈指の人気観光地である一方で、混雑や渋滞でスムーズに観光地を回れない・コインロッカーが見つからないなど、オーバーツーリズムが問題となっています。「お荷物チェックインTAXI」は、こうした問題に着目したサービスであり、京都を訪れる観光客のニーズに応える新たな貨客混載サービスとなっています。

出典:株式会社キャビック「お荷物チェックインTAXI」

貨客混載のメリット・デメリット


貨客混載のメリットとしては、「輸送効率の向上」「環境負荷低減」「事業者の収益向上」などが挙げられ、デメリットとしては、「輸送キャパが少ない」「輸送時間が長くなる可能性」などが挙げられます。順に解説していきます。

貨客混載のメリット1.輸送効率の向上


貨客混載のメリットとしてまず挙げられるのが輸送効率の向上です。旅客専用のところ、空きスペースを使って貨物を運ぶことで、輸送の生産性を高めることができます。

近年はドライバー不足に伴う輸送力不足が社会的な問題となりつつあります。貨客混載はこうした問題に対応する取り組みであり、特に、ドライバーの担い手が不足している・輸送サービスの維持が難しくなっている過疎地域で導入されていくことが期待されています。

貨客混載のメリット2.環境負荷低減


環境負荷低減につながるのもメリットです。空きスペースを有効活用することで輸送に必要な車両台数を減らせるためです。

また、鉄道は営業用トラックに比べてCO2排出量を約11分の1に抑えられるとされています。こうしたことから、特にトラックで運んでいた貨物を鉄道による貨客混載に切り替えた場合は、大幅なCO2排出量削減効果が期待できます。

貨客混載のメリット3.事業者の収益向上


貨客混載は、輸送サービスを展開する事業者の収益向上にもつながります。輸送に必要な人件費や燃料費などのコストを増やさずに旅客と貨物を一緒に輸送できれば、生産性向上が図られるためです。

地方では、採算をとることが難しくなっているバス路線が数多く見られます。そのようなバス路線において、乗客とともに野菜などを運ぶ貨客混載の事例が複数見られ、新たな収益源を確保するための取り組みとしても広がりつつあります。

貨客混載のデメリット1.輸送キャパが少ない


貨客混載は、バスや鉄道などの車両の空きスペースを活用する取り組みであるため、従来の輸送方法よりも一度に輸送できる絶対量が少なくなってしまうことがデメリットとして挙げられます。そのため、貨客混載は大口の貨物や荷姿が大きい貨物の輸送には向きません。

貨客混載のデメリット2.輸送時間が長くなる可能性


旅客を輸送する電車やバスなどで貨客混載を行う場合、トラックで貨物を運ぶ場合より輸送時間が長くなる可能性があります。

貨物輸送メインのトラックとは異なり、鉄道やバスは運行ダイヤに基づいて運行しなければならず、貨物優先の運行とはならないためです。

また、鉄道を利用した場合は、出発駅ではトラックから鉄道に、到着駅では鉄道からトラックにと、都度貨物の積み替えが発生します。このようなことから、運行全体で見たときには、従来の輸送方法よりも輸送時間が長くなってしまう可能性があります。

まとめ


貨客混載とは、貨物と旅客を一緒に輸送する輸送方式のことです。

メリットとしては、「輸送効率の向上」「環境負荷低減」「事業者の収益向上」などが挙げられ、デメリットとしては、「輸送キャパが少ない」「輸送時間が長くなる可能性」などが挙げられます。

貨客混載が全国で解禁されて以降、村営バスを利用した貨客混載の取り組みが行われたり、観光客のニーズに応えるタクシーを利用した新サービスが生まれたりするなど、各地で様々な動きが出てきています。人流・物流サービスの維持に資する取り組みとして、新たな収益源を確保するための取り組みとして、さらに広がっていくことが期待されます。

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