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「置き配」が標準化?宅配サービスについて国が検討している内容とは?


再配達率削減への施策として置き配を標準化することが検討されています。国土交通省による「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」」で、すでに議論が始まっており、秋頃の取りまとめが予定されています。ドライバー不足が深刻さを増す中、宅配サービスのあり方が大きく変わろうとしています。

※当記事は、2025年8月1日時点の情報をもとに作成しております。

置き配の標準化が検討されている、といった報道があった


6月の終わり頃から7月の初めにかけて、「置き配の標準化に向けた検討が国で行われている」といった趣旨の内容の報道が様々なメディアでありました。

これは、国土交通省が6月26日に開催した「第1回 ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」を受けてのものであり、今や暮らしに欠かせない重要なインフラとなっている宅配サービスの基本ルールが変わる可能性のあるものとあって各メディアによって一斉に報じられました。

また、置き配の標準化に関する報道のみならず、対面受取りの追加料金の可能性に言及するメディアもあり、今後宅配サービスのあり方がどのように変わっていくかが注目されています。

対面受取りに代えて置き配を標準化する、わけではない


国は宅配の受取方法の基本ルールに置き配を“加える”ことを検討しています。報道を見て「え!?対面受取りができなくなるの?」と不安に思った方も少ないかとは思いますが、今回の「置き配の標準化」の検討は、受取方法を置き配に限定する検討を行っているものではありません。

あくまで宅配便の受取方法の基本ルールとして、現在の標準的な受取方法である対面受取りに、置き配などの多様な受取方法を加えること、置き配の位置付けをどうしていくか、といったことについて検討が行われているというのが現段階の議論の内容となっています。

ただ、本来の議論の趣旨とは異なって理解が広がっている感もあり、6月27日の大臣会見で中野洋昌国交大臣は、「置き配の標準化」に対して以下のようにコメントをしています。

「置き配を標準とする」検討を行うという最近の報道がありまして、これは私も承知していますが、少し皆さま誤解されている部分が多いのではないかと思っているところが、本検討会において、標準的な受取方法として、従来からの対面受取りに代えて、これを置き配のみを限定して標準約款に位置付けるという検討を行うものではないということです。 あくまで対面の受取りに加えて、置き配などの多様な受取方法を受取りの際の選択肢の一つとしてどう位置付けるかという議論をしているということです。
出典:国土交通省「中野大臣会見要旨」

「標準宅配便運送約款」に置き配がどう記載されるか、クリアしなければならない様々な問題も


「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」では、置き配を含めた多様な受取方法の普及や地域配送の共同分担など、ラストマイル配送の効率化に向けた議論が行われています。

特に今回注目されている「置き配の標準化」に関して具体的には、国が定める「標準宅配便運送約款」に、置き配をどのように位置付け明記していくか、といった議論が進んでいくことが想定されます。「標準宅配便運送約款」は、言うなれば国が示す宅配便の基本ルールとなるものであり、現状は置き配を標準的な受取方法とする記載はありません。

「標準宅配便運送約款」は、運送事業者の約款とすることができ、実際多くの運送事業者がひな形として使用していることから、「標準宅配便運送約款」に置き配に関する記載が追加されることで、宅配のあり方が大きく変わっていく可能性があります。

ただ、置き配に関しては、再配達率の削減やドライバーの負担減などのメリットがある一方で、盗難リスクに伴う保障の問題や個人情報漏洩リスク、誤配リスク、雨天時や荒天時の対応など、すでに様々な問題が顕在化しているのが実情です。安全性と利便性の折り合いをどのようにつけていくか、慎重な議論が必要となっています。


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国は12%だった再配達率を6%にすることを目標にしている


2023年6月2日、国は2024年問題などによる輸送力不足への対応策として、「物流政策パッケージ」を打ち出しました。この中で、再配達率の削減についても目標と具体的な施策が示されており、当時12%だった再配達率を2025年3月末までに6%へ引き下げることが目標とされていました。

しかしながら、2025年4月時点で再配達率は8.4%となっており、さらなる取り組みが不可欠な状況となっています。「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」で「置き配の標準化」の検討が行われていることに関しては、こうした背景があり、再配達率の削減は、今後も継続して取り組まなければならない重要な社会課題となっています。

「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」の取りまとめは秋頃を予定


「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」は、全4回の開催が予定されており、2025年8月1日時点で第2回までが終了しています。第3回は8月下旬、第4回は9月下旬に開催される予定です。

そして、検討会の取りまとめに関しては秋頃を予定しているといい、そこで置き配の位置付けを含む具体的な変更内容や新たな取決め、ラストマイル配送の効率化に向けた国の方向性などがある程度見えてくるのではないかと思われます。

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