【広報コラム】

初心者向けかんたん物流コラム

スマート物流サービスとは?その研究開発の中身とは?


「サプライチェーン全体を最適化する」。
このような目的のもと政府主導で研究開発が進められているのがスマート物流サービスです。
物流業界の主要課題であるドライバー不足や低生産性などの根本的な要因である非効率なサプライチェーンそのものを改善していこうというものです。

では具体的にはどのような研究開発が行われているのでしょうか?その中身を見ていきたいと思います。




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スマート物流サービスとは?



スマート物流サービスとは、物流・商流データ基盤の構築やITの活用などを通じてサプライチェーン全体の最適化を目指す国家プロジェクトです。スマート物流サービスは、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」という国家プロジェクトのうちの一つとなります。

「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」は、プログラムディレクター(PD)と呼ばれるリーダーが中心となって産学官連携を図り研究開発を行うもので、府省の枠や旧来の分野を超えて科学技術イノベーションを実現させることを目的としています。

「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」は、第1期(平成26年度〜すでに終了)には11のプロジェクトが、第2期(平成30年度~令和5年3月末まで)には12のプロジェクトが立ち上がっており、スマート物流サービスは第2期のプロジェクトのうちの一つとなります。

なぜスマート物流サービスの研究開発が必要なのか?


スマート物流サービスの研究開発が必要とされる背景にあるのは、個々で高度化が図られていったサプライチェーンの存在です。

物流業界にはドライバー不足や低生産性という主要課題がありますが、サプライチェーン上のプレイヤーが個々で高度化をしていった結果、このような課題が顕著となっていった側面があります。つまり、物流にしわ寄せが及んでしまっているということです。

ドライバーの長時間労働の温床となっている荷待ち時間の長時間化や、積載効率の低下を招いている多頻度小ロット化などは、その例といえるでしょう。

どんどんとドライバーの仕事が割に合わない仕事となってしまっており、ドライバーが集まらない状況を生んでしまっています。そのため、スマート物流サービスの研究開発によってサプライチェーン全体の最適化が図られていくことは物流にとって非常に大きな意味を持つとともに、ドライバー不足や低生産性などの解決にもつながっていきます。

近年、企業同士もしくは業界内で協力して物流効率化を図ろうとする動きが多く見られるようになりましたが、スマート物流サービスは、部分最適ではなく、国策レベル・政府主導で、サプライチェーン全体を最適化していこうというのが狙いです。

スマート物流サービスの軸となる2つの研究開発



スマート物流サービスは、大きく分けて2つの研究開発が進められています。

物流・商流データ基盤の構築


スマート物流サービスの研究開発項目(A)として研究開発が進められているのが、物流・商流データ基盤の構築です。川上から川下まで、サプライチェーン全体で取り扱われるデータを集約して解析・共有できるようにするためのデータ基盤を構築していく研究開発です。

研究・社会実装が進んだ先には、サプライチェーン全体での理解が図れるような標準化された情報基盤が構築されることになるから、情報に基づく計画物流が可能となります。そのため、物流においてのムリ・ムダをなくすことにつながっていきます。

さらには、データ基盤にある情報をもとに高精度な生産予測や仕入予測などが可能となれば、物流のみならず、フードロスの減少や販売員の人手不足解決にもつながっていきます。

省力化・自動化に資する自動データ収集技術の開発


スマート物流サービスの研究開発項目(B)として研究開発が進められているのが、省力化・自動化に資する自動データ収集技術の開発です。研究開発項目(A)の物流・商流データ基盤に入れていく有効な情報を集めるための機能と、物流現場の省力化・自動化を促す機能の2つの機能を持ち合わせた技術の研究開発が進められています。

研究開発項目(A)の物流・商流データ基盤に有効な情報が入らなければ意味を成しませんし、物流現場にはいまだアナログ作業や人力に頼る作業が多くあるのが課題です。つまり、2つのテーマをカバーする技術の研究開発だということになります。

また、物流業界は約95%が中小企業が担っていることから、安価で導入しやすい技術を開発することもポイントとされています。



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物流・商流データを共有・活用することの有効性


物流・商流データを共有・活用することの有効性については、すでに実証実験で明らかとなっています。実証実験は、「日用消費財」「ドラッグストア・コンビニ等」「医薬品医療機器等」「地域物流」の4つの分野で行われ、すべての分野で物流効率化や生産性向上などの効果があったことが確認されています。

例えば、「日用消費財」の分野においては、物流・商流データをサプライチェーン上の各プレイヤーが共有・活用することで、待機時間削減や帰荷必要車両数削減などに効果があったことが確認されています。

「日用消費財」の分野では、垂直的・水平的な連携を図ることが難しく、これがトラックの待機時間の発生や積載率の低下などにつながる大きな要因となってしまっています。物流・商流データ基盤の社会実装が進み、物流・商流データを活用するプレイヤーが増えれば、相当な効果を見込めるはずです。

スマート物流サービスの数値目標


物流分野には、「労働力不足」「ニーズの多様化」「環境への対応」などの課題があり、このようななかで、SDGsを達成しようとすると、20〜30%の生産性向上が必要だとしています。そのため、スマート物流サービスでは30%の生産性向上が目標値として設定されています。当初は20%の生産性向上が目標値でしたが、30%にプラス10%上方修正された格好です。

また、30%の生産性向上が実現された際の経済インパクトは年間約7.5兆円にもおよぶと試算されています。

今後は社会実装の推進に加え、政府の施策との連携も


スマート物流サービスの研究開発は2023年3月末で終了します。その後は、研究成果に基づいた社会実装のより一層の推進をはじめ、政府の施策との連携も図られていくとのことです。

これらの役割を担う中心となる継承組織には、公正性・中立性・持続性を有する組織であることが要件となりますが、すでに一般社団法人フィジカルインターネットセンターという2022年6月に設立された法人が継承することも決定しています。

一般社団法人フィジカルインターネットセンターとスマート物流サービスの研究開発に参加した企業とが連携を図り、社会実装の推進などを図っていくとのことです。


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