【社長コラム】

ロジスティクスAI 戦略のポイント

ロジスティクスに重要な「全体最適」という考え方


From:朴成浩



前回の続きの渋滞の話の前にちょっと衝撃的なニュースが。AIブームの世界を尻目に、日本はこんなことになってしまいました。


東ロボ君、東大受験断念!だそうです。


東大目指して「5浪」中であった人工知能の東ロボ君ですが、このままでは何年経っても合格の見込みなし!ということで「進路変更」するそうです(笑)


いや、笑ってる場合じゃないですね。


日本の人工知能研究の予算は一体、どうなっているのでしょう?このままでは世界との差は開く一方です。将来が心配です。


ちなみに、もし真剣に人工知能が東大受験するとして、一番、難しいのは何でしょうか?


システムへの投資が必ずしも正解でない理由

試験日に姿を現すことですね。冗談ではなく。


試験日がいつかをしっかりと把握し、その日その時間に会場に姿を現すためには自分は一体、何をしなくてはいけないのか? 地方からの受験生であればこの難易度はさらに増して、人間でも世間知らずな子は失敗するレベルになるわけですが、AIにこんなことができるようになる日がいつか本当にやってくるのか、興味は尽きません。


今回のことからも分かるように、現状の人工知能というものは人間そのものを肩代わりできるようなものでは全くありません。たとえば一見、うまく会話など知的業務をしているように見えてもその実体は「曲芸を仕込まれた猿」のようなものです。自分のやっている行為の意味を理解できているわけではないのです。


ただ、その「曲芸」が人間にとっても難しく、誰にでもできるようなものではない場合、実は「仕込まれた猿」の方がよほど上手にできる、ということはあります。これからの時代、こういう難しい作業を人間にやらせるのか、AIにやらせるのか・・・つまり、「採用と教育」にお金をかけるのか、「システム」にお金をかけるのか、が、経営判断の重要課題になっていく、ということは注意が必要ですね。


臨界点ではわずかな差が大きな違いを生む

さて、渋滞撲滅運転の話ですね。


自分一人が渋滞に殺到せず、ゆっくりと走る。ただそれだけでその先の渋滞がだいぶ緩和される、ということを前回、書きました。


なぜ、こういうことが起こるのでしょうか?


この理由は逆に、なぜ渋滞が起こるのかを考えてみれば分かります。渋滞が発生する場合、渋滞区間では何が起こっているでしょうか?


渋滞がどんどんひどくなっている場合、その区間にはどんどんと車が入ってくる一方でなかなかその区間から車が出ていかない、ということが起こっているわけです。


つまり、その区間に対して、


    車の流入量 > 車の流出量


という状態になっているわけですね。では、逆に、


    車の流入量 < 車の流出量


という状態にできれば渋滞はどんどん解消する方向に向かうわけです。


こう考えると、渋滞撲滅運転が効果を発揮する理由が分かります。渋滞撲滅運転は極端に言えば1車線を閉鎖するのと同じようなことをやっているわけです。つまり、その先の区間に対する車の流入量を制限することになるわけで、その減少量は一見、わずかであったとしても、渋滞が発生するかどうかの微妙な領域にとっては大きな影響を及ぼすのです。


個々だけでなく集団のパフォーマンス評価も

たった一人の努力で渋滞を減らせる、と言うと「そんなバカな!?」と思えますが、たとえばたった一人の事故で簡単に渋滞を発生させることができることを考えると、逆にたった一人の努力で渋滞を減らせるというのも、そんなにおかしなことではないわけですね。


渋滞に限った話ではありませんが、一定のキャパシティしかないところに、たくさんの人が我先にと殺到すれば、かえって誰も脱出できず全員が不幸になる。逆に一人一人が自己利益を追求せずに整然と行動すれば全員が幸せになる。


これも一つの、全体最適と局所最適の対立関係というものです。


ロジスティクスというのは、結局、集団の振る舞いですから、こんな風に全体最適と局所最適の対立というのはいたるところで見られます。


現場には素晴らしい人間が集まっているはずなのに全体の効率で言えばなぜか競合に負けてしまう。もしあなたにそんな心当たりがあるようなら、個々のパフォーマンスだけが評価の対象となっていて、「全体最適」がなおざりになっていないか再考してみてはいかがでしょうか?



++朴成浩


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