【社長コラム】

ロジスティクスAI 戦略のポイント

「宵積み」の配車計画が難しい理由


From:朴成浩



ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?


私はやりたいことがあったので思い切って10連休にしました。


年末年始などでもなかなか10日連続で「気兼ねなく(←ここ重要!)」休めることなんてないですからね。


1週間以上まとまった休みが取れるとき必ず私が心がけていることがあります。


それは「普段できないことをやる」です。


休みに入る前に何かテーマを決めて普段できないことをするのです。


普段できないことといっても、別に海外旅行に行くとか、冒険に行くとか、そんな大層なことでないです。


今回、やりたかったのは、


「普段できない仕事をやる」


これですね。


え?仕事なの?と思うかもしれませんが、皆さんもひとつくらいはないですか?


仕事で、本当はこれをやりたいのだけど目先の仕事に追われてなかなか手が付けられない、というようなこと。


決して、片付いていない仕事を片付ける、ということではないですよ。


片付いていない仕事は申し訳ないけどそのまま放っておいて、やりたかった仕事をやる。

こういうことです。


で、今回、私がやりたかったのは、一言で言うとこういうことです。


どうしたらもっと良い配車が組めるようになるか

じっくりと考える。


そんなわけで、今日の話はちょっとマニアックです。

興味のある方だけ読んで頂ければ幸いです。



配車システムがつくる配車計画の現状



「どうしたらもっと良い配車が組めるか?」


とは言いましたが、誤解のないように書きますと、今現在でも私たちの製品はデータさえちゃんと揃えばかなり良い計画を組んでくれます。(本当です!笑)


ま、これは当然といえば当然で、


誰がやってもちゃんと良い計画が組めるからこそ

また、それをしっかりと確認して頂いたからこそ


私たちのユーザーの方々は、もっと有名な大企業の製品や、もっと安価な競合の製品ではなく私たちの製品を選んでくれているわけです。


「コンピューターに配車組ませるなんてバカじゃないの?」


と言われた時代もありました。しかし、それでもコンピューターが自動で立ててくれる計画の良さを追求し続けた結果、


「計画の良さなら断然ライナさんだよね」


と言って頂けるまでになり、諦めずにやってきて本当に良かったな、と思います。


とはいえ、正直に言いますが、私たちの自動配車アルゴリズムは、まだ全ての、ありとあらゆる配送計画において完璧な計画を組んでくれる、というレベルにまでは至っていません。


残念ながら、難しい配送条件や複雑な運行パターンのあるケースでは、私たちの目から見ても、


「ちょっとコンピューター君、この計画どうなの?」


と言いたくなるような計画になってしまうことも残念ながらときとしてあります。


(ただ、こういう複雑な条件の場合、そもそも人間が組んでも難しいので、コンピューターが完璧な計画が組めなくても、それでも十分、役に立つ場合も多々あるということも私たちは学びましたが・・・・・・)


こういう「厄介な」条件や運行パターンはいくつかあるのですが、中でも比較的ポピュラーなテーマが「宵積み混在」と「バース制約」ですね。



「宵積み」で見る配車業務の難しさ



「宵積み」というのは、改めて説明の必要もないかもしれませんが、前日のうちに荷物を積み込んでから帰庫し、翌日早朝に出発するような運行のパターンです。


いや、単なる宵積みなら話は簡単なんですよ。もうすでに10年以上前から私たちは対応済みです。


問題は、宵積みする(できる)車両とできない車両が混在しているようなケースで、どの車両にどのルートを付けるのが良いか?が悩ましい場合です。しかも、車によっては車庫が違っていたり、倉庫も複数あったりするともう大変です。


・この荷物は宵積みにするのか?

・いや、宵積みできる車両は少ないから朝積みにした方が良いのか?

・どの車庫の車両に載せたら良いのか?


などなど、普通にルートを組むだけでも大変なのに、ある車両にとっては良いルートでも別の車両ではダメとか、ルートと車両にもいろいろな組み合わせ方があって、ちょっと検討するだけでも、うんざりするような運行パターンが出てくることはご理解頂けますよね?


ちなみに、もし、あなたの会社がこういう複雑な運行パターンの配送を行っているのであれば朗報です!


こういうケースでは、私たちの自動配車を使って頂ければまず間違いなく台数が減る、それも結構な台数が減ります。


こういうケースは、人間にとっても大変なんです。まずそもそも、限られた台数内で現実的に運行可能な計画を立てるだけで大きな苦労です。ましてや最適な計画を立てるなんて、とても日々の業務ではやってられません。


「その計画、最適なの?」なんて配車マンに聞こうものなら社長でも怒られますよ。

「オレの苦労分かってるの?」って。


なので、こういう複雑な運行パターンでは多少、コンピューターの立てる計画に粗があってもトータルとしては台数も減るし仕事も楽になるしでOKなのです。


と、そうはいっても、やっぱり長く使っていくと粗は気になってくるんですよね。


大変、お恥ずかしい話ですが、先日、あるユーザーさんのところで本当にみっともないルートが組まれてしまいました。


まず、ある倉庫の荷物を宵積みして、朝、出発し朝一で別の倉庫に寄って朝積みの荷物を追い積みします。


ここまでは良いのですが、問題はその先です。何とこの後、この車両はもう一回、元の倉庫に戻ってもう一つ荷物を追い積みするのです。


「えー、だったらその荷物も宵積みしておけば良かったじゃん!?」


と、ドライバーさんに嫌みを言われてしまった、とのことだったのですが、いや、全くその通りです。本当に申し訳ありません。


実は、これにはこれでコンピューターにはコンピューターなりの理由があり、要はそもそも元々は宵積みと朝積みの別々のルートで組んでいた2ルートを合体させたらこうなった、というようなことなのです。宵積みのルート同士、あるいは朝積みのルート同士の合体なら何の問題もなかったわけですね。


こういう、いわば「コンピューターの思考のアラ」みたいなものを、あらゆる複雑な条件に対応して潰し尽くすのは、ある種の「歴史の審判」が必要というか、本当に本当に!長い時間を必要とします。


思えば、私たちも最初の10年は、開発の半分くらいは「コンピューターの思考の粗」を潰すことばかりやっていた気がします。(ちなみにもう半分は、新たな現場に行くたびに次から次へと出てくる新しい制約条件や運行パターンへの対応です)


そういえば、Google囲碁でも第4局でコンピューター側にとんでもない悪手(しかもあの完璧なコンピューターがそれを悪手だとずっと後になるまで気づかない!)が出ましたが、こういう、人間のプロフェッショナルが長い時間かけて習得してきた、考えたり判断したりするような仕事をコンピューターにできるようにするのは、やっぱり長い時間がかかるものなんですね。


・・・


と、ちょっとまだバースの話にも届いていないのですが、何だか長くなってしまったので今週はこの辺にしておきます。


だらだらとまとまりのない話になってしまいましたが、GW明けで休みボケということでご容赦ください!それでは今日も良い配車のためにがんばりましょう!



++朴成浩


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