ロジスティクスAI 戦略のポイント
From:朴成浩
囲碁がついにプロに勝ちましたね。
私たちのような「アルゴリズム屋」にとってさえ
このニュースは大きな衝撃でした。
個人的には、コンピューターが勝ったとはいえ、
人間の遺した膨大な棋譜を学習した上ではじめて勝てたものを、
安易に「コンピューターが人間に勝った」と言って良いのか?
という疑問は残りますが、
ただ、それを言ってしまえば
「人間だって過去の名人の棋譜から学んで強くなるよね?」
という主張もあるわけで、そう考えると
「たった1年」で初心者がプロに勝てるまで学習して成長できたというのは
確かにある意味では人間よりすごいわけです。
いずれにしても一つだけ、はっきりと
認識しなければならないことがあります。
近年のコンピューター囲碁や将棋のプロに対する勝利が
世の中にはっきりと知らしめたこと、それは、
すでに人間がうまくやっていることであれば
コンピューターはもっとうまくやれる。
ということです。
それがたとえ、囲碁や将棋のように芸術的なまでに複雑で、
天才的な知性がないとマスターできないと考えられていたような
高度な知的業務であったとしても、です。
「そんなのコンピューターにできるわけないだろ!?」
この台詞は、今まで人間の「勘と経験」の独擅場と
考えられていたあらゆる分野で過去のものとなっているのです。
なお、「ついに一番難しい囲碁」でもコンピューターが勝った、
と言われていますが、これは半分はホントで、半分はウソです。
確かに、チェス(や将棋)に比べると
囲碁は盤面が広く、局面の組み合わせ自体は断然、多いです。
が、「囲碁(や将棋)は難しいから勝てなかった」は、
日本国内で流通する、ある意味、我々のプライドを
くすぐる説明でしかなく、最初にチェスが人間に勝った理由は
実は「欧米」だから、というのが真相です。
チェス人口は囲碁や将棋に比べると桁違いに多く
特に欧米では言うまでもなくはるかに一般的です。
そして、いわゆるIT・・・特に高度なアルゴリズムなどの
応用分野は残念ながら圧倒的に欧米が進んでいます。
つまり、コンピューターチェスは、
ものすごい量の、優れた才能が、長い時間かけて
研究に取り組んできた背景があるのです。
決してチェスが簡単だから
最初にやっつけられたわけではないのです。
実際、欧米のIT研究勢力(今回はGoogleでしたが)が
本気を出してみたら、のんびり「あと10年は……」などと
考えられていた囲碁のリードなど幻に過ぎなかったわけです。
(囲碁なんて簡単と言ってるわけではないですよ!誤解なく!)
このことは非常に興味深い示唆を与えてくれます。
今、あなたの業務がコンピューターでできなかったとしても、
それができない理由は、決して、
「あなたの業務は難しいから」
「あなたの業界は独特だから」
「あなたの勘と経験はコンピューターには置き換えられないから」
ということではなく、
単にコンピューターがまだ侵略してきていないだけ
かもしれないのです。
すでにチェスが侵略されているにもかかわらず、
「我々はもっと特殊で難しいから大丈夫」と
囲碁や将棋が安穏としていられなかったのと同様です。
人間が「上手に」できるのであれば、
コンピューターはもっと「上手に」できるかもしれない
このような危機感を持つことは重要です。
しかし、何も恐れることはありません。
囲碁や将棋よりさらに研究の進んでいる
チェスがそれを教えてくれています。
もはや、チェスでは人間はコンピューターに勝てませんが、
そのコンピューターよりさらに強い指し手がいます。
誰でしょう?
コンピューターと人間の組み合わせです。
コンピューターに局面や指し手を検討させながら
人間が指せば、さらにコンピューターの上を
行くことができるのです。
実際、すでにそういうルールの競技はあって、
「アドバンスドチェス」と呼ばれています。
無数のシナリオに対する最善手をコンピューターが検討、
それぞれに対するKPIを見える化し、人間の英断を仰ぐ。
「アドバンスド・ロジスティクス」
私たちが目指す新しいロジスティクスの世界です。
PS:
と、ここまで書いておいて全部ちゃぶ台を
ひっくり返すようで気が引けるのですが、
触れておかないのはフェアではないので……。
実は、最新のチェス研究では「アドバンスド」でさえ
もうコンピューター単独に勝てないのではないか?
という見方も出ています。
ま、さすがにロジスティクスの最適化でそこまで
コンピューターが万能になるのはまだ先……、
だとは思います、たぶん。
PPS:
完全に余談ですが、今回のGoogleの囲碁プログラムは
3月にはトッププロとの対戦を控えていますね。
今から楽しみでなりません。
万一(?)、コンピューターが勝つようなことになったら
これは大変なことです!
++朴成浩
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